
外国人ドライバーの採用は、相談から稼働開始まで標準で4〜6か月かかります。これはドラビザの支援工程での標準で、入管の審査期間を保証する数字ではありません。この記事では6ステップの流れに沿って、企業と本人の要件、担当者、免許で変わる日程を整理します。入国後に免許を取得する場合は、その期間が加わります。
対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」でトラックドライバーを採用する運送会社です。特定技能は、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる在留資格です。2027年4月入社を目指すなら、2026年10月中の相談開始が目安になります。
企業は配属先と雇用条件を決め、本人は試験や免許の要件を満たします。在留資格申請を受任する行政書士法人と、募集・教育を担う採用支援会社の役割を分けます。
段階 | 担当とやること | 時期・判断基準 |
|---|---|---|
1 相談 | 企業の人事と採用支援会社が、人数・営業所・入社希望日を決めます。 | 2027年4月入社なら2026年10月中の開始が目安です。 |
2 要件設計 | 企業が車両・免許区分・給与を定め、協議会加入と支援体制を整える段階です。 | 報酬は同じ業務の日本人と同等以上に設定します。 |
3 募集・面接 | 採用支援会社が募集し、企業が面接します。本人は試験結果と免許証を提示します。 | 評価試験、日本語、予定車両の免許区分を照合します。 |
4 在留資格申請 | 依頼を受けた行政書士法人が申請を担い、企業は雇用契約書などを提供します。 | 申請までに協議会へ加入し、免許取得の前後で申請の種類を分けます。 |
5 入国・入社前教育 | 海外採用では本人が査証・渡航を進めます。国内採用では必要な在留資格変更を経て入社準備へ進みます。 | 入国前に住居・通勤方法・教育担当を決めておく必要があります。 |
6 稼働 | 企業の運行・教育担当者が運転と業務理解を確かめ、配車を決めます。 | 必要な日本の免許と特定技能の許可がそろってから運送業務に就きます。 |
本人には、自動車運送業分野特定技能1号評価試験のトラック区分への合格が必要です。運行業務や荷役業務など、運送の仕事に必要な知識を確かめる試験で、2024年12月から実施されています。日本語は日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT‑Basic)の合格が要件です。JFT‑BasicではA2.2(A2)の判定、つまり総合得点200点以上が必要で、A2.1(175〜199点)は使えません。判定結果通知書で確認します。運転する車両に合った区分の日本の第一種運転免許も必要になります。
企業には、自動車運送業分野特定技能協議会への加入が必要です。これは受け入れ企業などが参加する分野別の協議会です。加入は特定活動を含む在留資格申請までに済ませます。国土交通省は、届出内容の確認に1か月程度かかる見込みを示しています。
トラックの受け入れ企業には、職場環境や安全性に関する認証要件もあります。「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証が選択肢の1つです。もう1つは、Gマーク制度で認定された安全性優良事業所を有することです。自社の認証状況は、候補者の募集と並行して人事が確認します。
報酬は同じ業務に従事する日本人と同等以上とし、雇用契約書に反映します。企業には、生活や就労を支える法定支援の体制と支援計画も必要です。支援は、企業から委託を受けて特定技能外国人を支える登録支援機関に委託できます。支援範囲は契約内容によって異なります。委託先の協議会加入も確認し、法定支援に漏れがないよう担当を割り振ります。
採用支援会社の提携行政書士法人が在留資格申請を受任する形では、書類の収集と申請準備を分担します。企業が自ら用意する書類を必要最小限に絞るため、依頼した行政書士側で取得する書類と、企業から提供する資料を分けます。人事は雇用契約書や給与・勤務条件の情報をまとめ、依頼した行政書士が示す必要書類と照合します。
海外採用では、候補者選定、在留資格申請、査証、入国、入社前教育の順に工程を組みます。査証は、海外の日本大使館などで受けるビザの手続きです。免許を入国後に取得する場合の工程は次の章で説明します。
海外在住者は送り出し機関や現地ネットワーク、国内在住者は国内ネットワークなどから募集します。どちらのルートでも、日本の免許の有無と区分を見て、残る工程を判断します。
候補者の免許 | 本人が進める手続き | 企業の判断基準 |
|---|---|---|
日本の免許あり | 有効な免許証を提示します。 | 予定車両を運転できる区分なら、追加取得の工程は不要です。 |
母国の免許あり | 外国免許を日本の免許に切り替える外免切替を検討します。 | 切り替えられる区分を免許窓口で確認し、足りない区分の取得も組みます。 |
免許なし・区分不足 | 日本の教習所で取得する道を検討します。ただし免許が1つもない人は評価試験を受けられません。 | 入校条件と取得順序を教習所・行政書士に照会してから日程を決めます。 |
評価試験の受験には、日本または外国の有効な運転免許が必要です。免許が全くない候補者は、まず日本または母国で有効な免許を取ってから試験を受ける順序になります。免許なしのまま準備用の在留資格で入国できると誤解しないよう、募集の前に免許と試験の順序を決めておきます。
入国後の免許取得には、特定活動(特定自動車運送業準備)という在留資格があります。トラックでは最長6か月で、更新はできません。普通免許または準中型免許を取得したら、速やかに特定技能への変更を申請します。変更後は保有する免許で運転できる車両の業務に就き、中型・大型免許は働きながら教習所で取得できます。予定車両に大型が必要な場合は、その取得期間も配車計画に入れます。この6か月は在留期間の上限であり、教習に一律6か月かかるという意味ではありません。
2027年4月入社に向けて、標準4〜6か月から逆算すると、2026年10月中の相談開始が目安です。免許を入国後に取得するなら、その期間を追加して相談時期を前倒しします。
工程表には、入国日、入社日、免許取得予定日、稼働予定日を別々に記載します。試験や教習の予約が取れていない段階では、稼働予定日を確定扱いにしません。人事が行政書士法人と教習所から進捗を集め、配車担当者に更新した日程を共有します。
入社前のeラーニングと配属初月の教育では、点呼、指差呼称、無線応対を扱います。指差呼称は、確認対象を指で示し、声に出して確かめる動作です。現場の教育担当者が、遅延時の連絡や納品先での応対を本人に再現してもらい、理解度を確かめます。入国前には支援担当者と、住居の鍵の受け渡し、通信契約、初出勤の移動方法も決めます。
相談から稼働開始までの標準4〜6か月は、ドラビザの支援工程を基準にした期間で、入国後の免許取得期間は別に加えます。最初の相談には、配属営業所、車両、給与、希望入社日をまとめた資料を用意します。費用の内訳は別の記事で整理します。
採用の相談で多い、日本語・国内採用・準備期間の質問に答えます。
面接での会話だけでは、日本語の要件を満たす証明になりません。トラックではN4以上またはJFT‑Basic A2.2(A2)を確認し、評価試験と免許も照合します。
在留資格の変更や免許の追加取得が残っていれば、その手続きが必要です。留学生などを特定技能へ変更する場合も、試験結果と必要な日本の免許を確認して申請します。
トラックの特定自動車運送業準備は最長6か月で、更新はできません。教習所や免許窓口の予約状況を早めに把握し、取得後の在留資格変更まで含めて計画します。