
特定技能の自動車運送業の試験は、トラック・タクシー・バスの業務区分ごとに受けます。特定技能1号でトラック運転者を採用するには、候補者がトラック区分の評価試験(業務に必要な知識・技能を確かめる試験)に合格している必要があります。この記事では、人事担当者が押さえる試験内容、会場と予約方法、申込手順、受験費用を整理します。
正式名称は「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」です。特定技能1号「自動車運送業分野」という在留資格(日本に滞在するための資格)で働くための、技能を確認する試験に当たります。実施主体は一般財団法人日本海事協会(ClassNK)です。同協会は造船・舶用工業分野の特定技能試験も担っています。
試験は学科30問と実技20問で、試験時間は合わせて80分です。学科と実技のそれぞれで60%以上の正答が必要です。合計点だけで合否を判断する仕組みではありません。
科目 | トラックの出題範囲 | 形式・合格基準 |
|---|---|---|
学科 | 運行業務、荷役業務、安全衛生 | 正誤問題30問、18問以上正解で合格 |
実技 | 運行業務、荷役業務 | 三肢択一(3つから1つ選ぶ)20問、12問以上正解で合格 |
実技は車両を走らせる試験ではなく、問題を読んで適切な対応を選ぶ形式です。荷役業務とは、貨物を積み降ろしする作業などを指します。トラックの問題は日本語で、漢字にはふりがなが付きます。
タクシー・バスでは、荷役業務に代わって乗客への応対などの接遇業務が出題されます。旅客を運ぶ仕事に必要な第二種運転免許の試験内容に準拠した問題には、現地語が併記されます。配属先に合う受験区分を人事担当者が選び、別区分の合格結果と取り違えないようにします。
学習用テキストは、トラックが全日本トラック協会、バスが日本バス協会のサイトで公開されています。タクシーは全国ハイヤー・タクシー連合会が公開しています。過去問は公開されていないため、企業の教育担当者は該当区分の教材を本人と共有します。
全日本トラック協会の教材は、運転者の基本、運行業務、荷役業務、危険予知トレーニングの4章です。英語版とベトナム語版もあります。ただし、トラックの本試験は日本語です。母語等で内容を理解した後、日本語で設問を読めるか確かめる学習方法が考えられます。
日本海事協会の公表資料では、2026年1月31日時点で合格発表済みのトラック試験の合格率は71.6%です。受験者5,134名に対して合格者は3,676名でした。この集計値は、個々の候補者の合格可能性や必要な学習期間を示すものではありません。
受験には、試験当日に有効な日本または外国の自動車運転免許が必要です。日本の免許は普通自動車以上、外国の免許はそれに相当するものが対象です。予約前には、人事担当者による免許証の区分と有効期限の照合が必要です。
年齢は試験当日に満17歳以上、インドネシアでは現地側の年齢要件として満18歳以上が求められます。対象は外国籍の方で、国内受験には「留学」などの在留資格も必要です。その他の受験条件は公式ポータルで照合します。これらは受験の条件であり、日本で運送業務を始められる条件とは別です。
試験は2024年12月に法人が希望する会場で紙の問題に解答する出張方式で始まり、2025年3月3日にCBTの受付が加わりました。
CBTはテストセンターで受けます。固定の一斉試験日はなく、本人が申請システムで会場と日時を選びます。国内・海外とも、希望する都市の会場と空席があるかを予約画面で確かめます。
2025年3月にCBTの受付が始まった際の対象は、日本を含む16か国でした。内訳は、インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、キルギス、スリランカ、タイ、ネパールです。さらに、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、日本が含まれます。
その後、ベトナムは2026年4月1日、タジキスタンは同年9月1日に受付を開始しています。2026年9月9日時点の公式ポータルには、この2か国も掲載されています。企業は当初の16か国の一覧だけで受験可否を判断せず、本人の居住地から通える会場を調べます。
CBTは原則として本人が申し込み、合格証明書は雇用する企業または雇用予定の企業が発行を申請します。予約前に免許証や身分証明書の本人確認があり、予約可能になるまで日数を要する場合があります。採用日程には本人確認にかかる日数も見込み、登録当日の受験を前提にしないようにします。
申込みの入口は、日本海事協会の特定技能試験ポータルサイトです。「自動車運送業分野」の「試験申請方法」から、受験者用のCBT操作マニュアルと申請システムを開きます。教材には全日本トラック協会などの公開テキストを使います。
段階 | 担当とやること | 確認事項・目安 |
|---|---|---|
1 登録・本人確認 | 本人によるシステム登録・必要書類の提出 | 免許証・身分証明書などの確認完了が条件 |
2 会場予約 | 本人による区分・会場・日時の選択と支払い | 本人・人事による予約内容と持参書類の照合 |
3 受験・結果確認 | 本人による受験・システム上での結果確認 | 合否は試験後1週間程度で確認できます。 |
4 証明書発行 | 雇用企業による合格証明書の発行申請 | 申請前にアカウントの企業名を照合 |
表は一般的なCBT申込みの流れです。ベトナムでは個人申込みに加え、送出機関経由の申込みもあります。合格証明書には申請アカウントの企業名が所属機関名として記載され、発行後は変更できません。発行前に自社名の登録を確かめるのは、雇用企業の人事担当者です。
2026年9月1日以降の申込みに適用される料金は次のとおりです。受験料に加え、合格後の証明書発行手数料も採用予算に含めます。
項目 | 料金 | 適用上の注意 |
|---|---|---|
国内受験 | 6,500円(税抜) | 受験申込日が基準 |
海外受験 | 45米ドル | ベトナムは50米ドル |
合格証明書発行 | 15,000円(税抜) | 受験日にかかわらず発行申込日が基準 |
受験の申込みが2026年8月31日以前なら、9月以降の受験でも改定前料金が適用されます。会社が費用を負担する場合、受験料と発行手数料の請求は分けて管理します。会場までの交通費も本人の居住地に応じて見積もります。
社内で共有する資料には、候補者の免許、受験区分、予約状況、受験と証明書発行の費用を記載します。合格後も日本語と日本の免許の確認が残るため、受験日を稼働開始日として扱わないことが必要です。
受験資格と稼働条件は別々に判断します。候補者から免許証や合格結果を受け取った際には、次の3点も照合します。
試験当日に有効で、日本の普通自動車以上に相当する外国の免許があれば受験対象になります。年齢など他の受験条件も満たす必要があります。日本で使う免許の取得方法は、外国人ドライバーの免許取得ルートで整理しています。
評価試験への合格だけでは、特定技能ドライバーとして運送業務に就けません。日本語能力、予定車両に必要な日本の免許、在留資格の許可などが必要です。企業側も含む条件は特定技能ドライバーの受け入れ要件で確認できます。
有効期間は受験日から10年間です。発行日からの計算ではないため、確認する日付は証明書の受験日です。申請と入社準備の順序は、外国人ドライバー採用の流れを参照できます。