
警備会社の外国人受け入れ準備は、就労制限のない在留資格の人を採用する形で今から進められます。この記事では、在留資格とは別に確認する警備業法の要件、法定教育、現場の指示と連絡の整え方を示します。まず1人を受け入れられる教育・配置体制を用意し、現場で伝わる指示をそろえることから始めます。
対象は、交通誘導や施設警備の現場を預かる担当者です。制度の動向は警備業と特定技能の検討状況に整理しています。以下の指示文と準備手順は自社向けに調整する作例で、業界共通の用語や将来制度の要件ではありません。
永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等は、就労活動に制限のない在留資格です。ただし、在留資格で働けることと、警備業法上の警備員になれることは別の確認です。
採用担当者は内定後、勤務開始前に在留カードの原本を本人に提示してもらいます。顔写真・氏名、在留資格、在留期間の満了日、カードの有効期間、表面の「就労制限の有無」を確認します。「就労制限なし」なら、在留資格による業務内容の制限はありません。カードの真偽確認には、入管庁の読取アプリなども使います。
「就労不可」なら原則として働けません。裏面の「資格外活動許可」欄に記載がある場合は、認められた活動や時間の範囲を確認します。資格外活動許可は、本来の在留活動以外で働くための許可です。一部就労制限がある場合も、資格名だけで配置を決めず、許可された活動と実際の警備業務を照合します。
警備業法第14条は、18歳未満の人と、第3条第1号から第7号の欠格事由に該当する人の従事を禁じています。欠格事由とは、警備員になれない法定の条件です。破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない人や、薬物・アルコール等の中毒者などが該当します。年齢だけで終えず、会社として各号への該当を確認する必要があります。
全国警備業協会は、外国人にも欠格事由の確認が必要と説明しています。一方、日本人が本籍地で取得する破産に関する「身分証明書」は、外国人には相当する証明書がないため、外国人の場合は不要としています。同じ書類を一律に求めず、確認項目と収集方法を所轄警察署の案内に沿って整理します。
警備業法第21条と警備業法施行規則第38条に基づく教育は、外国人にも必要です。免除・短縮の対象でない一般の警備員は、新任教育を20時間以上、現任教育を年度ごとに10時間以上受けます。
教育の区分 | 時間と内容 | 会社が準備すること |
|---|---|---|
新任教育 | 基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上です。 | 勤務に就く前の教育日程と、講義・実技の担当を決めます。 |
現任教育 | 基本教育と業務別教育を合わせて年度ごとに10時間以上です。 | 年度の教育予定に受講日を入れ、実施日・内容等を記録します。 |
免除・短縮 | 保有資格や経験、従事する業務によって異なります。 | 資格証明書と経験を照合し、一般区分を一律に当てはめません。 |
基本教育は法令や事故時の対応など、業務別教育は施設の巡回や交通誘導など担当する業務に応じた教育です。営業所の警備員指導教育責任者が、本人の経験と配属先に合わせて内容を組みます。日常の日本語練習は、法定教育の時間を満たすものとして自動的に算入しません。
インターネットを使う学習であるeラーニングも、条件を満たせば講義に利用できます。条件は、本人確認、受講状況の確認、知識の習得状況の確認、質疑応答の機会の4つです。これに加えて、警察庁の解釈運用基準は、教材の初回視聴時にスキップできないことも求めています。
翻訳した動画を見せるだけでは、法定教育を終えたことにはなりません。教育を行う人の要件を確認し、実技訓練が必要な事項は実技も組みます。教育担当者は導入前に、質問への回答方法と受講記録の残し方まで確かめます。
多言語教材は、本人が理解できる言語を聞いて用意します。厚生労働省の警備業向け安全衛生教育マニュアルには、外国人への配慮や表示・標識の用語例があります。このマニュアルを参考に、自社の立入禁止区域や避難経路の写真へ説明を添えることもできます。翻訳した禁止事項は教育担当者が意味を点検し、本人の説明や動作でも理解を確かめます。
現場の指示は、会社として「短く・一語一義・復唱」の3点にそろえます。一語一義とは、同じ言葉を同じ意味で使うことです。「はい」という返事だけで判断せず、立つ位置を図面や現地で指さしてもらい、指示した場所と動作が合っているかを練習で確かめます。
次の表は自班向けに作った作例です。言い回しは現場ごとに替えて使います。
場面 | 指示・連絡の作例(自社で調整) | 確認する点 |
|---|---|---|
交通誘導の配置 | 「配置は北門の待機位置です」「北門の待機位置、了解です」と復唱します。 | 「あちら」を使わず、図面と現地で同じ場所を指せるか見ます。 |
施設の巡回報告 | 「西入口から報告です。扉が開いています。確認をお願いします」と伝えます。 | 場所と異常が分かるか、受信側も場所を復唱できるか見ます。 |
聞き取れないとき | 「場所が聞き取れません。もう一度お願いします」と返します。 | 推測で動かず、聞き直せるかを確認します。 |
交通誘導の停止・進行の合図は、会社の安全手順に沿って統一します。表の短い言葉だけでは、誘導方法を教えたことになりません。教育担当者が安全な練習場所で器材と動作を見せ、同じ動作を本人に返してもらいます。無線を聞き間違えたときや通信できないときの対応も、ここで確認します。
けが・事故なら「場所、何が起きたか、けが人の状況、必要な応援」を伝える形にします。作例は「南側の駐車場で車と歩行者が接触しました。歩行者は話ができます。応援をお願いします」です。救急・警察への通報と安全確保は社内の返答を待たずに行うことも、手順として教育に含めます。
クレームでは「場所、相手の申し出、今の状況」を伝え、判断する担当者へ引き継ぎます。会社は勤務帯ごとに、第一連絡先と、つながらないときの次の連絡先を決めます。施設側への連絡を誰が担うかも、連絡表に書いておきます。本人が携帯する連絡表には現場名・住所を載せ、訓練では実際の通報先につながらないよう模擬の連絡先を使います。
夜勤の勤務表には日付をまたぐ始業・終業時刻と休憩を明記します。採用・配置を担当する人は、次の4点を本人と確かめます。最終便後の帰宅方法、休憩場所、食事の取り方、日中に睡眠を取れる環境です。夜間に体調を崩した場合の連絡先も、初回の夜勤前に共有します。
終業時には本人が聞き取れなかった語を集め、現場の用語表を直します。指導役の決め方など体制づくりは外国人材の受け入れ体制の基本、説明方法は職場でのコミュニケーションに整理しています。
最初の1人の配属前に、会社は採用時の確認記録、教育計画、現場の用語表、緊急時の連絡表をそろえます。日程が合うかだけでなく、教育と理解の確認を終えたかで配置を判断します。
永住者であることは免除理由になりません。保有資格や経験、担当業務に応じて必要な教育を確認します。
動画だけでは足りません。オンライン講義の要件に加え、必要な実技訓練を行い、現場の指示を理解して動けるかも確かめます。
採用人数だけでは決められません。現場ごとの配置基準や必要な資格、本人の習熟を確認し、応援を呼べる連絡体制を含めて判断します。