
外国人ドライバーが事故を起こしたときも、最初に行うのは停止、救護、危険防止、警察への報告です。この記事では、当日の連絡手順と会社の事故報告、在留資格への影響を整理します。通訳や会社の返答を待って、救護・通報を遅らせてはいけません。会社から国への報告期限は、速報対象なら24時間以内、事故報告書の対象なら原則30日以内です。
主な対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」のトラックドライバーを雇う会社です。現場での義務は国籍を問わず同じですが、会社は本人が理解できる言語での説明と、在留手続きの確認を加えます。
道路交通法第72条は、直ちに運転を停止し、負傷者を救護して道路の危険を防ぐことを求めています。警察への報告も必要で、物損事故でも省略できません。
次は社内手順の例です。「当日中」は社内管理の目安で、法令の「直ちに」や速報期限を延ばす意味ではありません。会社側の担当は、実際に対応する人の氏名に置き換えます。
自動車事故報告規則第2条の対象には、死亡・重傷事故、転覆・転落・火災、10台以上の衝突などがあります。重傷者は、自動車損害賠償保障法施行令第5条第2号・第3号の傷害に該当するかで判定します。酒気帯び運転を伴う事故、救護義務違反、運転者の疾病で運転を継続できなくなった場合も対象です。会社は国土交通省が掲載する同規則第2条の全項目と照合します。
対象事故では、会社が原則として事故日から30日以内に自動車事故報告書を提出します。車両の使用の本拠を管轄する運輸支局等を経由し、国土交通大臣へ提出する仕組みです。救護義務違反は会社がその事実を知った日から、報告指示によるものは指示日から数えます。
同規則第4条の速報対象には、トラックでは死者2人以上、重傷者5人以上、負傷者10人以上の事故などがあります。酒気帯び運転を伴う事故等も該当し、事故発生から24時間以内に、できる限り速やかに速報する必要があります。報告担当者は管轄の運輸支局等へ、把握できた概要から伝えます。
国土交通大臣の指示による速報もあるため、管轄運輸局の緊急時対応マニュアルも照合します。速報後も30日以内の報告書は必要です。報告書の対象かどうかとは別に、事業用自動車の事故の記録を事故発生後30日以内に作成し、3年間、営業所で保存します(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の2)。速報と報告書は、警察や保険会社への連絡とは別の報告です。
会社は、本人が事実を説明できる言語を確かめ、支援担当者につなぎます。在留資格への影響は事故の発生だけで決めず、罪名と処分内容を確認します。
登録支援機関は、企業から委託を受けて特定技能外国人を支援する機関です。事故やトラブルに関する本人の相談も、相談・苦情対応の対象になります。支援する側は、本人が十分に理解できる言語で、遅滞なく対応する必要があります。
論点 | 会社が行うこと | 担当・時期 |
|---|---|---|
警察・相手方との会話 | 本人の使用言語を伝え、警察の手続きで通訳が必要なら警察に申し出ます。相手方との連絡窓口も共有します。 | 会社の担当者が第一報後に調整します。 |
支援への引継ぎ | 委託先へ事故の状況、本人の困りごと、連絡先を伝えます。自社支援なら社内の支援担当者につなぎます。 | 人事が速やかに連絡します。 |
処分と在留期限 | 在留カード、処分通知、判決等の資料をそろえます。刑事事件は弁護士、在留申請は依頼先の行政書士等と確認します。 | 人事と本人が、捜査や処分の進展ごとに共有します。 |
不安と乗務再開 | 痛み、睡眠、運転への不安を聞き取ります。必要なら受診を手配し、免許と体調、再教育の状況を確認します。 | 支援担当者と会社が次の乗務前に確認します。 |
通訳の現場派遣など、委託先の支援範囲は契約内容によって異なります。相談対応と示談交渉について、会社は保険会社や弁護士との分担を決めます。法定支援の全項目は特定技能の支援計画で確認できます。
交通事故を起こしたという事実だけで、退去強制事由に当たるわけではありません。出入国管理及び難民認定法(入管法)第24条第4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とします。ひき逃げや飲酒運転等で、この条件を満たす実刑となる場合も該当します。
同号では、刑の全部の執行猶予を受けた場合は除かれます。一部執行猶予で、猶予されなかった期間が1年以下の場合も同様です。特定技能の在留者には同条第4号の2も適用されます。第4号の2に列挙された犯罪(自動車関係では、自動車運転死傷行為処罰法第2条の危険運転致死傷と第6条第1項の無免許の危険運転など)で拘禁刑となると、執行猶予付きでも対象です。過失運転致死傷や救護義務違反そのものは、この列挙には含まれません。2025年6月1日に懲役・禁錮が廃止され、拘禁刑が導入されています。
罰金刑でも、次回の在留期間更新では素行が審査されます。入管庁のガイドラインは、刑事処分を受けた行為などを評価の対象としています。罰金なら影響がないとも、必ず不許可になるとも断定できません。人事は本人と処分資料を確認し、在留期間更新の手続きに向けて申請担当者と準備します。
会社は次の乗務前に、免許停止・取消しの有無と処分の効力を確認します。これらの行政処分と、罰金・拘禁刑などの刑事処分は別です。事故後は運転・指示・勤務状況を検証し、次の乗務前に必要な再教育を行います。
事故の責任を本人に一方的に負わせる対応は避けます。特定技能では、雇用契約の不履行に対する違約金など、不当な金銭移転を予定する契約が規制されています。会社は事故後も、この規制に反する取り決めを設けてはいけません。
初乗務前に、会社が緊急連絡先と保険の条件を点検します。担当変更や保険更新の際も、本人に渡した情報を更新する運用です。
練習では、誤って通報しないよう110番・119番には実際に発信しません。練習方法と再教育の組み方は、外国人ドライバーの安全教育と日本語にまとめています。
ドラビザでは、入社後の定着支援を行っています。支援範囲は契約内容によって異なります。
物の損壊だけの事故も警察への報告が必要です。本人同士で話がまとまっても、報告を省略しません。
本人はまず通報し、場所、事故であること、使える言語を伝えます。連絡を受けた担当者は通報先に通訳の必要性を伝え、支援担当者と調整します。
相談・苦情には遅滞なく対応する必要があります。会社から支援担当者へ速やかに連絡し、本人への説明や受診等が必要かを確認します。