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外国人ドライバーの事故対応当日の手順と在留資格

2026.10.23 公開読了目安 7分
監修: 株式会社ドラビザ 代表取締役 羽田 健太
有料職業紹介事業・登録支援機関として外国人ドライバーの採用と定着を支援

外国人ドライバーが事故を起こしたときも、最初に行うのは停止、救護、危険防止、警察への報告です。この記事では、当日の連絡手順と会社の事故報告、在留資格への影響を整理します。通訳や会社の返答を待って、救護・通報を遅らせてはいけません。会社から国への報告期限は、速報対象なら24時間以内、事故報告書の対象なら原則30日以内です。

主な対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」のトラックドライバーを雇う会社です。現場での義務は国籍を問わず同じですが、会社は本人が理解できる言語での説明と、在留手続きの確認を加えます。

事故当日の手順と会社の報告期限

道路交通法第72条は、直ちに運転を停止し、負傷者を救護して道路の危険を防ぐことを求めています。警察への報告も必要で、物損事故でも省略できません。

次は社内手順の例です。「当日中」は社内管理の目安で、法令の「直ちに」や速報期限を延ばす意味ではありません。会社側の担当は、実際に対応する人の氏名に置き換えます。

  1. 本人が事故直後に停止し、負傷者を救護して二次事故を防ぎます。負傷者がいれば119番へ救急要請し、場所と負傷状況を伝えます。救護や危険防止の際は、後続車に注意して自身の安全も確保します。
  2. 本人が直ちに110番へ通報します。警察官が現場にいる場合は、その警察官に報告します。報告事項は、日時・場所、死傷者、物の損壊、積み荷、講じた措置です。日本語で説明が難しいときは、使える言語と通訳が必要なことも伝えます。
  3. 本人は救護・通報を遅らせないよう、安全を確保して会社へ連絡します。受けた担当者は現在地、本人の状態、警察・救急への連絡状況を記録します。代わりの車両や担当者の手配と配送先への連絡は、会社が引き受けます。
  4. 会社の担当者が当日中に保険会社へ事故を連絡します。保険証券番号、車両番号、日時・場所、被害状況を伝え、以後の窓口を決めます。相手方との示談や賠償の約束は、その場で本人だけに判断させません。
  5. 人事は支援担当者へ連絡し、必要な通訳を手配します。救護等を妨げない範囲で撮った写真と、ドライブレコーダー映像は当日中を目安に保全します。本人の説明、客観的な記録、未確認事項を分け、推測で事故原因を埋めません。
  6. 会社の報告担当者が当日から自動車事故報告規則の対象を判定します。速報対象なら、24時間以内のできる限り早い時点で報告します。事故報告書の提出担当と期限も、この段階で決めます。

事故報告書と速報は対象を別々に確認する

自動車事故報告規則第2条の対象には、死亡・重傷事故、転覆・転落・火災、10台以上の衝突などがあります。重傷者は、自動車損害賠償保障法施行令第5条第2号・第3号の傷害に該当するかで判定します。酒気帯び運転を伴う事故、救護義務違反、運転者の疾病で運転を継続できなくなった場合も対象です。会社は国土交通省が掲載する同規則第2条の全項目と照合します。

対象事故では、会社が原則として事故日から30日以内に自動車事故報告書を提出します。車両の使用の本拠を管轄する運輸支局等を経由し、国土交通大臣へ提出する仕組みです。救護義務違反は会社がその事実を知った日から、報告指示によるものは指示日から数えます。

同規則第4条の速報対象には、トラックでは死者2人以上、重傷者5人以上、負傷者10人以上の事故などがあります。酒気帯び運転を伴う事故等も該当し、事故発生から24時間以内に、できる限り速やかに速報する必要があります。報告担当者は管轄の運輸支局等へ、把握できた概要から伝えます。

国土交通大臣の指示による速報もあるため、管轄運輸局の緊急時対応マニュアルも照合します。速報後も30日以内の報告書は必要です。報告書の対象かどうかとは別に、事業用自動車の事故の記録を事故発生後30日以内に作成し、3年間、営業所で保存します(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の2)。速報と報告書は、警察や保険会社への連絡とは別の報告です。

通訳・支援・在留資格の確認を並行して進める

会社は、本人が事実を説明できる言語を確かめ、支援担当者につなぎます。在留資格への影響は事故の発生だけで決めず、罪名と処分内容を確認します。

登録支援機関は、企業から委託を受けて特定技能外国人を支援する機関です。事故やトラブルに関する本人の相談も、相談・苦情対応の対象になります。支援する側は、本人が十分に理解できる言語で、遅滞なく対応する必要があります。

論点

会社が行うこと

担当・時期

警察・相手方との会話

本人の使用言語を伝え、警察の手続きで通訳が必要なら警察に申し出ます。相手方との連絡窓口も共有します。

会社の担当者が第一報後に調整します。

支援への引継ぎ

委託先へ事故の状況、本人の困りごと、連絡先を伝えます。自社支援なら社内の支援担当者につなぎます。

人事が速やかに連絡します。

処分と在留期限

在留カード、処分通知、判決等の資料をそろえます。刑事事件は弁護士、在留申請は依頼先の行政書士等と確認します。

人事と本人が、捜査や処分の進展ごとに共有します。

不安と乗務再開

痛み、睡眠、運転への不安を聞き取ります。必要なら受診を手配し、免許と体調、再教育の状況を確認します。

支援担当者と会社が次の乗務前に確認します。

通訳の現場派遣など、委託先の支援範囲は契約内容によって異なります。相談対応と示談交渉について、会社は保険会社や弁護士との分担を決めます。法定支援の全項目は特定技能の支援計画で確認できます。

事故だけでは退去強制にならず、更新では素行が審査される

交通事故を起こしたという事実だけで、退去強制事由に当たるわけではありません。出入国管理及び難民認定法(入管法)第24条第4号リは、無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とします。ひき逃げや飲酒運転等で、この条件を満たす実刑となる場合も該当します。

同号では、刑の全部の執行猶予を受けた場合は除かれます。一部執行猶予で、猶予されなかった期間が1年以下の場合も同様です。特定技能の在留者には同条第4号の2も適用されます。第4号の2に列挙された犯罪(自動車関係では、自動車運転死傷行為処罰法第2条の危険運転致死傷と第6条第1項の無免許の危険運転など)で拘禁刑となると、執行猶予付きでも対象です。過失運転致死傷や救護義務違反そのものは、この列挙には含まれません。2025年6月1日に懲役・禁錮が廃止され、拘禁刑が導入されています。

罰金刑でも、次回の在留期間更新では素行が審査されます。入管庁のガイドラインは、刑事処分を受けた行為などを評価の対象としています。罰金なら影響がないとも、必ず不許可になるとも断定できません。人事は本人と処分資料を確認し、在留期間更新の手続きに向けて申請担当者と準備します。

乗務再開前に免許を確認し、責任を本人だけに負わせない

会社は次の乗務前に、免許停止・取消しの有無と処分の効力を確認します。これらの行政処分と、罰金・拘禁刑などの刑事処分は別です。事故後は運転・指示・勤務状況を検証し、次の乗務前に必要な再教育を行います。

事故の責任を本人に一方的に負わせる対応は避けます。特定技能では、雇用契約の不履行に対する違約金など、不当な金銭移転を予定する契約が規制されています。会社は事故後も、この規制に反する取り決めを設けてはいけません。

事前準備のチェックリスト

初乗務前に、会社が緊急連絡先と保険の条件を点検します。担当変更や保険更新の際も、本人に渡した情報を更新する運用です。

練習では、誤って通報しないよう110番・119番には実際に発信しません。練習方法と再教育の組み方は、外国人ドライバーの安全教育と日本語にまとめています。

まとめ

ドラビザでは、入社後の定着支援を行っています。支援範囲は契約内容によって異なります。

よくある質問

けが人がいない事故でも警察へ報告しますか

物の損壊だけの事故も警察への報告が必要です。本人同士で話がまとまっても、報告を省略しません。

通訳が見つからない場合はどうしますか

本人はまず通報し、場所、事故であること、使える言語を伝えます。連絡を受けた担当者は通報先に通訳の必要性を伝え、支援担当者と調整します。

事故後の支援は次の定期面談まで待てますか

相談・苦情には遅滞なく対応する必要があります。会社から支援担当者へ速やかに連絡し、本人への説明や受診等が必要かを確認します。

この記事の監修者
羽田 健太はねだ・けんた
株式会社ドラビザ 代表取締役

株式会社ドラビザ 代表取締役。有料職業紹介事業・登録支援機関・一般労働者派遣事業の許認可のもと、外国人材の採用から定着までの支援を行う。

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