
倉庫で外国人を雇う場合は、任せる作業と本人の在留資格を照合します。現在の倉庫内作業の採用では、就労制限のない在留資格や、留学生などの資格外活動許可が選択肢になります。資格外活動許可は、本来の在留目的以外の仕事を認める許可です。使える資格の違いと、勤務開始前に人事が確認する書類を整理します。
在留資格とは、日本で行える活動や身分に応じて認められる滞在の資格です。一定の技能を持つ外国人を対象分野で受け入れる「特定技能1号」も、その1つです。ただし、2026年9月15日時点では、倉庫作業を主たる業務とする物流倉庫分野は、受け入れ開始に向けた準備段階です。
フルタイムで倉庫作業を任せるなら、まず就労制限のない在留資格を持つ人が候補になります。留学生を採用する場合は、許可された時間内のアルバイトとして計画します。
在留資格・許可 | 倉庫作業への採用 | 確認する条件 |
|---|---|---|
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 商品を取り出すピッキングや仕分けを主な仕事にできます。 | 在留カードの「就労制限なし」を確認します。 |
留学と資格外活動許可 | 学業に支障のない範囲でアルバイトが可能です。 | 許可の有無、在学状況、勤務時間を照合します。 |
家族滞在と資格外活動許可 | 許可の範囲内でアルバイトが可能です。 | 許可内容と掛け持ちを含む勤務時間を確認します。 |
技術・人文知識・国際業務 | ピッキング・仕分けを主な仕事として採用できません。 | 専門的な業務の内容と本人の学歴・職歴を確認します。 |
特定技能1号の物流倉庫分野 | 現時点では、すぐに作業員を受け入れる枠として使えません。 | 試験や受け入れ開始の公表を待って計画を更新します。 |
永住者などの4資格は、身分・地位に基づく在留資格です。倉庫作業を含め、就労する職種に制限がありません。ただし、本人が「日本人と結婚している」と話しただけで判断せず、カードに記載された資格を確認します。労働時間や安全教育などの労働関係法令は、別に守る必要があります。
家族滞在は、就労資格を持つ人などに扶養される配偶者や子の在留資格です。勤務先を個別に指定しない包括許可があれば、原則週28時間以内で働けます。留学生の長期休業中の時間特例は、家族滞在には適用されません。
技術・人文知識・国際業務は、専門的な技術・知識や外国の文化に基づく能力を使う仕事の在留資格です。以下、技人国と略します。技人国は、ピッキングや仕分けを主たる業務とする現場作業員の採用には使えません。
求人票に「物流管理」と書いても、実際の仕事が終日仕分けなら、名称だけで専門職にはなりません。物流システムの設計や海外取引先との交渉などを任せる場合は、具体的な業務と本人の学歴・職歴との適合性を別に判断します。人事は作業名と1日の担当内容を書き出し、現場作業の人員計画と分けます。
なお、「特定活動」は資格名だけで倉庫作業の可否を判断できません。一人ひとりに活動が指定される資格だからです。応募があれば、旅券に添付された指定書で、認められた活動と勤務先などの条件を確認します。
留学生が倉庫でアルバイトをするには、資格外活動許可が必要です。ここでは、勤務先を個別に指定しない包括許可で雇う場合を取り上げます。
包括許可で働く留学生は、原則として掛け持ち先を含めて週28時間以内です。在留カードの裏面にある許可欄に加え、資格外活動許可書または旅券の証印を確認します。許可に勤務先や活動内容が個別に指定されていれば、その条件との照合が必要です。
時間の計算例として、他社で週12時間働く人なら、自社で組めるのは週16時間以内です。自社だけで週28時間のシフトを組むと合計40時間になります。人事は採用時に掛け持ちの有無と時間数を聞き、シフト作成時にも変更を把握します。勤務後は実際の労働時間で上限を確かめます。
学校が定める夏休みなどの長期休業期間は、資格外活動の上限が1日8時間以内になります。授業がないだけの日は長期休業に当たりません。人事は学校の年間予定表などで期間を確認し、労働法上の時間・休日の規制も踏まえてシフトを作成します。
留学生の包括許可は、教育機関に在籍している間に限って有効です。卒業後、どの教育機関にも在籍していなければ、その許可で働き続けることは認められません。在留期限が残っていても同じです。卒業予定日を雇用管理の記録に入れ、卒業後の就労資格・許可を確認するまで勤務を組まない運用にします。
採用時には、在留カードの表裏と実際に任せる仕事を照合します。許可の範囲を超えて働かせるなどした場合、企業も不法就労を手助けする「不法就労助長罪」に問われることがあります。
就労資格を確認しなかったなどの過失があれば、「知らなかった」だけでは処罰を免れません。本人や紹介会社の口頭説明で済ませず、人事が原本を見て、確認日と確認内容を記録する手順を設けます。
運送部門のドライバーは、特定技能1号「自動車運送業分野」で現在も採用できます。本人と企業の要件、必要な在留手続きを満たしてから運転業務に就きます。
日本人ドライバーが通常行う関連業務には従事できますが、倉庫専従の仕分け要員として採る制度ではありません。倉庫と運送の求人を分け、ドライバーの要件は特定技能ドライバーの受け入れ条件で確認します。入社までの工程は外国人ドライバー採用の流れにまとめています。
育成就労は2027年4月に始まる新しい制度で、物流倉庫分野の運用開始は2027年4月1日以降です。一方、特定技能1号の物流倉庫分野は、国交省の案内では技能試験の開始時期が未定です。両制度の受け入れが同日に始まると決めて、入社日を設定することは避けます。
物流倉庫分野の両制度は、企業が本人と雇用契約を結ぶ直接雇用に限られます。派遣での受け入れはできません。企業の登録・許可などの条件と準備事項は、物流倉庫分野の開始時期と受け入れ要件で整理しています。
倉庫の採用計画には、作業内容、勤務時間、候補者の在留資格、確認済みの書類を記載します。人事は初回の照合後も、在留期限や卒業予定日、配属変更の時期に確認を更新します。
在留カードの記載と実際の作業が、採用可否を判断する基準です。特に、表面の就労制限、求人の職種名、卒業後の勤務を混同しないよう確認します。
留学生は、資格外活動許可があれば、その範囲でアルバイトが可能です。裏面の許可欄と資格外活動許可書または旅券の証印を確認して判断します。
職種名だけでは判断できません。主な仕事がピッキングや仕分けなら使えません。専門的な管理業務なら、具体的な業務と学歴・職歴を照合します。
正社員への契約変更だけでは、働ける範囲は変わりません。卒業後に認められる在留資格と業務の条件を確認し、必要な許可を得てから勤務を始めます。