
特定技能ドライバーは派遣で働けません。特定技能1号「自動車運送業分野」は、受け入れる運送会社との直接雇用に限られます。派遣・人材紹介・登録支援の違いと、営業所異動や採用提案を判断する際の確認点を整理します。
特定技能は、人手不足の分野で一定の技能を持つ外国人が働くための在留資格です。派遣での受け入れが認められるのは農業・漁業の2分野で、自動車運送業には適用されません。以下は2026年10月14日に確認した一次情報に基づく内容です。
自動車運送業の分野別運用方針は、雇用形態を「直接雇用に限る」と定めています。運送会社が本人と雇用契約を結び、フルタイムで受け入れる必要があります。人材紹介は採用を仲介するだけで、雇用主は運送会社のままなので利用できます。
制度上、直接雇用が原則とされているのは、外国人の雇用を安定させ、受け入れ機関の責任を明らかにするためです。人手不足の営業所でも、派遣会社が雇った特定技能外国人を自社の指示で運転させる形は選べません。
農業・漁業では、季節や作物、魚種などによって繁忙期が異なります。この繁閑の違いに合わせて事業者間で労働力を融通できるよう、派遣が認められています。派遣元・派遣先には所定の要件があり、運送会社の繁忙期対策にそのまま使える例外ではありません。
見分ける基準は、誰が雇用し、誰が仕事を指示するかの2点です。労働者派遣は、派遣会社が雇用した人が、派遣先の指示を受けて働く仕組みです。有料職業紹介は、企業と求職者の雇用成立を仲介する仕事です。登録支援機関は、企業から委託を受け、特定技能外国人の生活・就労に必要な支援を行います。
依頼するサービス | 雇用主と役割 | ドライバー採用での扱い |
|---|---|---|
労働者派遣 | 派遣会社が雇用し、派遣先が仕事を指示します。 | 自動車運送業分野では利用できません。 |
有料職業紹介 | 紹介会社が採用を仲介し、運送会社が雇用して仕事を指示します。 | 直接雇用する候補者の紹介を依頼できます。 |
登録支援機関への支援委託 | 運送会社が雇用主のまま、登録支援機関が支援を受託します。 | 支援を委託できます。支援範囲は契約内容によって異なります。 |
紹介会社や登録支援機関を利用しても、雇用主は運送会社です。給与・労働時間の管理や日々の運行管理は、受け入れる運送会社が担います。
派遣・紹介・支援を兼ねる事業者でも、今回頼む業務がどれかを契約書で特定します。紹介と支援の許認可や契約の違いは、有料職業紹介と登録支援機関の違いに整理しています。
特定技能外国人は、原則として1つの受け入れ機関で直接業務に従事します。自動車運送業では、元の会社に在籍したまま別会社にも雇用される「在籍型出向」は認められません。特定技能制度の基本方針では、親子会社間などで在籍型出向を例外的に認める場合はその旨を分野別運用方針に明記するとされていますが、自動車運送業分野の運用方針に明記はありません。
同じグループでも、別法人への出向と自社の営業所間の異動は別の扱いです。営業所の看板やグループ名だけで判断せず、雇用契約書に記載された雇用主の法人名を照合します。別法人の営業所で人手が足りなくても、現在の雇用契約のままドライバーをそこで働かせられません。
想定する配置 | 雇用関係 | 判断と必要な対応 |
|---|---|---|
自社の営業所間で異動します。 | 雇用主は同じ法人です。 | 異動先でも分野の受け入れ要件と本人の業務区分を満たすことが前提です。事業所の変更は随時届出の対象です。 |
グループ内の別法人へ在籍型出向します。 | 出向元との関係を残し、出向先とも雇用関係が生じます。 | 自動車運送業分野では認められません。 |
グループ内の別法人へ転籍します。 | 雇用主が新しい法人に変わります。 | 新しい受け入れ機関の要件充足と、在留資格変更許可が必要です。 |
例えば、同じ法人の本社営業所から別の営業所へ移る場合、雇用主は変わりません。人事は異動前に、雇用条件書の就業場所と異動日を整理します。異動したら、随時届出の一つである入管庁への「特定技能雇用契約の変更に係る届出」を、事由が生じた日から14日以内に行う必要があります。
一方、転籍は元の会社との雇用関係を終え、新しい会社に雇用される形です。「グループ内の異動」という社内の呼び方だけで手続きを省略できません。変更許可が出るまでは新しい会社で働き始めないよう、人事は本人と新しい会社の担当者に伝えます。
人事が最初に確認するのは、本人の在留資格と、雇用契約を結ぶ法人です。「外国人の派遣」という説明だけでは、特定技能の話か、別の在留資格の話か分かりません。
「技術・人文知識・国際業務」は、専門知識などを使う仕事を対象とする在留資格で、略して技人国と呼ばれます。派遣形態での就労もありますが、対象業務の要件は特定技能と異なります。技人国で派遣が可能でも、ドライバーの運転業務に使えるわけではありません。
契約前の照合は、次の順で進めます。資料の名称だけで判断せず、雇用主・仕事内容・指示する会社が分かる記載を確認します。
支援委託の契約があっても、派遣不可のルールは変わりません。登録支援機関が住居の手配や生活相談を担当することと、誰が雇用するかは別の問題です。
委託範囲は契約内容によって異なります。ただし、必要な法定支援はどちらが担う場合も省略できません。委託先と自社が担う支援を、支援計画(本人への支援の内容と担当を定めた計画)と契約書で確認します。具体的な分担は、登録支援機関に委託できる業務で確認できます。
雇用形態が整理できたら、次は本人の運転免許と試験、企業の受け入れ要件を照合します。採用の工程と免許・教育の確認点は、外国人ドライバーの採用と受け入れにまとめています。
採用を検討する際は、雇用主の法人名、在留資格、配属営業所をそろえて確認します。サービス契約と本人の雇用契約を分けると、紹介や支援を利用する場合も責任の所在が明確になります。
派遣会社の許可や支援契約があっても、自動車運送業分野の雇用要件は変わりません。提案を受けた際に混同しやすい3点を整理します。
派遣事業の許可と有料職業紹介事業の許可は別です。有料で候補者の紹介を依頼する場合、人事は紹介事業の許可を確認します。採用後は運送会社が本人を直接雇用します。
自動車運送業分野の特定技能では使えません。紹介予定派遣は、将来の直接雇用を予定していても、最初は派遣として働く仕組みです。自動車運送業分野の直接雇用の要件を満たしません。
支援の委託先を変えるだけなら、雇用主は運送会社のままです。人事は支援契約の変更と雇用主が変わる転籍を区別し、支援の引継ぎと必要な届出を整理します。