
ベトナム現地から新たに特定技能ドライバーを採用する際は、認定送出機関との契約、日本の免許取得、左側通行への教育が必要です。海外からの新規採用では、労働者提供契約と推薦者表(ベトナム側の承認手続きを終えたことを示す書類)を用意します。免許・費用規制と確認資料を整理します。
対象は、一定の技能を持つ外国人が運送業務に就く在留資格、特定技能1号「自動車運送業分野」です。主にトラック採用を扱います。ベトナムの運転経験があっても、日本で必要な免許や在留資格の手続きは別に進めます。
ベトナムは、特定技能1号の在留者数が全国籍で最多です。ただし、人数の多さだけで自社の車両を運転できる候補者が見つかるとは判断できません。
項目 | 確認できるデータ | 統計・資料の時点 |
|---|---|---|
人口・言語 | 約1億30万人、ベトナム語です。 | 人口は2023年、外務省掲載値です。 |
宗教 | 仏教、カトリック、カオダイ教などがあります。 | 外務省の2024年11月更新資料によります。 |
通行方向 | 右側通行です。 | 2025年施行の現地法で確認できます。 |
在日ベトナム人数 | 全在留資格で660,483人です。 | 2025年6月末の入管統計です。 |
特定技能1号 | 158,497人で、全国籍中最多です。 | 2025年12月末の速報値です。 |
自動車運送業分野 | 52人で、全国籍中最多です。 | 同じく2025年12月末の1号速報値です。 |
在日人数は2025年6月末、特定技能1号は12月末と時点が異なります。約66万人は全在留資格、15.8万人は全分野の人数で、運送分野の採用候補者数ではありません。特定技能1号は今回確認した最新の公表値です。
日本とベトナムは2019年7月1日に、特定技能の二国間協力覚書(MOC)を交わしました。海外から新たに採用する企業は、認定送出機関と労働者提供契約を結びます。募集する業種・人数・労働条件などを定める契約です。送出機関を通じ、ベトナム内務省海外労働管理局(DOLAB)の承認を受けます。
インドネシア、スリランカ、バングラデシュ、パキスタンは送出機関の利用が任意です。この4か国と異なり、ベトナムからの新規採用では認定送出機関を経由する工程が必要になります。
採用する人の状況 | 推薦者表の手続き担当 | 企業が確認する書類 |
|---|---|---|
ベトナムから新規に受け入れます。 | 認定送出機関がDOLABへ承認を申請します。 | 労働者提供契約の承認と推薦者表を確認します。 |
日本在住者が特定技能へ変更します。 | 必要な人だけ、本人または受入れ企業等が駐日ベトナム大使館で手続きします。2024年6月27日以降、提出が必要なのは日本で2年以上の課程を修了した留学生(見込みを含む)など一部の人に限られます。 | 対象者は大使館承認済みの推薦者表、対象外の留学生は課程の修了(見込み)を証明する書類を確認します。 |
すでに特定技能で在留中の人が転職します。 | 入管への変更申請に推薦者表の提出は不要です。 | 現在の在留資格と変更申請に必要な書類を照合します。 |
人事は行政書士と、本人の在留資格に応じた提出要否を確認します。DOLABの電子手続きメニューeDOLABの利用を含め、申請経路は送出機関に確認します。
ベトナム内務省の現行法対照資料によると、海外契約労働者法69/2020/QH14第23条は一般上限を定めています。本人から徴収するサービス手数料は、就労12か月につき契約賃金1か月分までです。契約36か月以上では計3か月分までとなり、市場・職種別に低い上限が設定される場合もあります。
DOLABの特定技能向け公開案内では、本人の手数料は上限から受入側が送出企業に払う派遣費を差し引く形です。一般上限の金額が、そのまま本人の支払額になるわけではありません。契約前に人事が、適用規定、企業負担、本人負担、徴収済み額の内訳を取り寄せます。
2026年6月30日施行の改正通達があるため、個別契約の最終負担額は送出機関に現行条文の提示を求めて照合します。費用表では、サービス手数料、現地の日本語教育・技能補習、渡航航空券、日本の免許取得費を分け、負担者を確認します。
トラック採用では、業務に必要な技能を測る評価試験、日本語、予定車両に必要な日本の免許を照合します。現地の免許記号だけで、担当車両は決まりません。
日本語の要件は、日本語能力試験(JLPT)N4以上です。国際交流基金日本語基礎テスト(JFT‑Basic)も使えます。JFT‑BasicではA2.2(A2)の判定、つまり総合得点200点以上が必要です。人事は得点と判定を示す判定結果通知書を照合します。
JFT‑Basicはコンピューターで受けるCBT方式です。ハノイ・ホーチミンでは2025年6〜7月に実施されました。JLPTの公式一覧にはハノイ2拠点、ホーチミン、ダナン、フエが掲載されています。受験日は、本人と送出機関が日程・会場を調べて決めます。
自動車運送業分野特定技能1号評価試験は、複数分野の技能試験を担う日本海事協会が実施します。受験には日本または外国の有効な運転免許が必要ですが、外国免許を日本の免許に替える外免切替の可否は別に審査されます。タクシー・バスはN3以上が基本で、例外条件は特定技能ドライバーの要件に整理しています。
ベトナムの道路交通秩序・安全法36/2024/QH15により、2025年1月に区分が変わりました。旧免許も有効期間中は使えます。表の移行は更新・再交付時の扱いです。下表は同法第57・89条と日本の区分の比較で、外免切替の認定表ではありません。
旧区分と移行後の新区分 | 新区分の主な対象 | 日本の区分との比較 |
|---|---|---|
B2はBまたはC1へ移行します。 | Bは貨物車の総重量3.5t以下、C1は3.5t超〜7.5t以下です。 | 普通・準中型に近いものの、重量の境界は一致しません。 |
CはCを維持します。 | 貨物車の総重量7.5t超を扱います。 | 中型・大型にまたがり、日本の大型とは断定できません。 |
DはD2へ移行します。 | 主に乗客17〜29人の旅客車です。 | 運転者を含む日本の定員では、中型・大型にまたがります。 |
EはDへ移行します。 | 乗客30人以上や寝台旅客車です。 | 大型旅客車に近くても、日本の第二種免許とは別です。 |
FCはCEへ移行します。 | Cの車両による牽引やセミトレーラーを扱います。 | 大型等の車両区分に加え、牽引免許の確認が必要です。 |
表の現地重量は設計上の車両総重量で、最大積載量とは別です。旅客の人数は運転者を除きます。日本の準中型は総重量7.5t未満なので、現地のC1で運転できる7.5tの車両は収まりません。免許証に加え、実際に運転した車両の重量・定員を聞き取ります。
外免切替では、ベトナムは知識・技能確認の免除対象ではありません。免許取得後、ベトナムに通算3か月以上滞在した証明も必要です。国土交通省の案内では、大型相当の現地免許があっても、まず普通免許へ切り替えます。
入国後の免許取得には、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」を使います。トラックは最長6か月で、更新はできません。普通・準中型免許を取得したら速やかに特定技能への変更を申請し、中型・大型の教習は変更手続き中でも進められます。海外の運転経歴を使う場合の証明書類は、入国前に免許窓口へ確認します。
ベトナムは右側通行のため、日本の左側通行と右ハンドル車への習熟を教育計画に入れます。教育担当者は、右左折時の進入位置、ミラーの確認、後退時の誘導を実車で確認します。単独乗務を任せる判断は免許取得と別に記録します。書類の詳細は外免切替の手続きを参照できます。
現地の公的求人で給与・勤務条件を把握し、本人の希望は面接で聞き取ります。
フート省就業サービスのバス運転手求人では、月1,200万〜1,500万ベトナムドンが提示されています。月25日勤務で、旧Eまたは新D免許を求める求人です。募集期限は2026年5月31日で、確認時点では終了しています。全国平均やトラック職の相場ではなく、1件の募集条件です。
食事や遠方者向けの住居支援も記載されています。日本での募集条件を説明するときは、基本給、残業代、住居費、控除後の手取り見込みを分けます。日本での報酬は、同じ業務の日本人と同等以上に設定します。現地給与の円換算だけを根拠に決めるものではありません。
日本海事協会のベトナムでの受付開始は2026年4月1日、DOLABの実施開始予定は4月2日と、別主体の告知です。DOLABはハノイ・ホーチミン・ダナンを挙げ、日程変更の可能性も示しています。2025年末の在留者52人は現地CBT開始前の人数です。国内会場や他国会場での受験など、現地CBT以外の経路による在留で、受験地の内訳は不明です。
旧正月のテトは旧暦に基づくため、毎年日程が変わります。例えば2026年の政府通知では、公務員等の休暇は2月16〜20日でした。日本の勤務先に同じ休日は適用されません。人事は帰国・帰任の希望日を聞き、配車担当者と休暇を調整します。
食事の制限や礼拝の希望は、信仰を採否の基準にせず、入社準備で任意に確認します。寮の献立、休憩中に使える場所など、必要な配慮を本人と相談します。家族への送金を希望する人には、生活費と手取り見込みを説明し、送金方法や手数料の確認を支援します。送金額や帰国頻度を国籍で決めつけません。
企業側の認証・協議会・支援体制も募集前に確認が必要です。共通の準備工程は外国人ドライバー採用の流れで確認できます。
社内の検討資料には、送出契約、試験結果、免許取得、配属教育の4項目を並べます。各項目に担当者と未確認の書類を添えると、採用開始までの作業を判断できます。
推薦者表、現地免許、受験場所は、採用工程が変わる確認事項です。候補者ごとに次の3点を照合します。
全員ではありません。2024年6月27日以降、国内での変更申請で推薦者表が必要なのは、日本で2年以上の課程を修了した留学生(見込みを含む)など入管庁が示す一部の人に限られ、それ以外は提出不要です。対象外の留学生は課程の修了(見込み)を証明する書類を提出します。すでに特定技能で在留中の人の転職・更新でも提出は不要です。
現地免許だけでは配属できません。日本の普通免許への切替後、大型取得の工程を組みます。必要な在留資格と予定車両の免許がそろったうえで、社内の運転教育も行います。
ベトナムでもCBT方式の申込受付があります。本人または送出機関が、日本海事協会の案内に沿って受験日と会場を確認します。試験合格後も、日本の免許取得などの準備は必要です。