
物流倉庫は、特定技能と育成就労で外国人を受け入れる対象分野に加わりました。2027年4月1日は育成就労の運用開始日です。一方、特定技能1号は技能試験の開始時期が未定で、受け入れ開始日も決まっていません。開始時期の違い、任せられる仕事、受け入れ企業の条件と、人事が今から用意できる資料を整理します。
特定技能1号は一定の技能を持つ外国人が働くための在留資格で、育成就労は就労を通じて人材を育てる制度です。倉庫を持つ運送会社でも、自社の許可・登録と倉庫作業の実態を照合する必要があります。以下は2026年9月9日に確認した公表資料に基づきます。
2026年1月23日の閣議決定で、「物流倉庫」分野が特定技能・育成就労の双方に追加されました。国土交通省が所管し、育成就労による受け入れは2027年4月1日以降となります。両制度が同日に始まるとは決まっていません。
倉庫作業の技能を確かめる「物流倉庫分野特定技能1号評価試験」は、開始時期が調整中です。国交省は、日程が決まり次第公表すると案内しています。企業などが参加して制度の適切な運用を図る分野別協議会も、両制度とも設置に向けて調整中です。加入義務は示されていますが、具体的な加入要件・提出書類・受付開始時期は未公表です。
分野別運用方針では、2026〜2028年度の3年間で合計18,300人を見込んでいます。内訳の対象期間は下表のとおりで、育成就労は2027年度からの2年間です。18,300人は分野全体の受け入れ見込数です。実際に働いている人数とは区別します。対象期間は計画上の年度であり、試験開始が翌年度以降に遅れれば、開始前の年度には特定技能1号の受け入れ枠は使われません。
区分 | 受け入れ見込数 | 対象期間 |
|---|---|---|
特定技能1号 | 11,400人 | 2026〜2028年度の3年間 |
育成就労 | 6,900人 | 2027〜2028年度の2年間 |
合計 | 18,300人 | 2026〜2028年度の3年間 |
表の注記として、特定技能1号の枠のみ2026年度から起算します。特定技能1号と育成就労の各見込数は、2028年度末までの受け入れ上限として運用されます。社内の採用計画では、この人数から自社の採用可能人数や入社日を割り出せません。人事は試験と協議会の発表を確認し、具体的な日程を更新します。
業務区分は「物流倉庫」の1区分で、両制度とも倉庫内の入出庫・保管・その他の倉庫内作業を対象とします。雇用形態は直接雇用に限られます。派遣での受け入れはできません。直接雇用とは、受け入れ企業が本人と雇用契約を結ぶ形です。
国交省は、貨物の受渡し・検品、移動、保管庫への格納などを挙げています。注文に合わせて商品を取り出すピッキングや、出荷に適した状態に整える流通加工も含まれます。流通加工の例はラベル貼りやセット組みで、商品の機能を完成させる製造工程は含まれません。
倉庫作業に従事する日本人が通常行う関連業務にも、付随的に従事できます。事務所への連絡・報告、作業場の整理整頓・清掃、台風接近時の貨物移動などです。現場責任者は求人票を作る前に、主な作業と関連業務を分けて書き出します。
荷物を持ち上げて運ぶフォークリフトの操作は、確認した分野別運用方針の業務区分には扱いが明記されていません。人事は使用機械と予定作業を整理し、労働安全衛生法上の資格・教育を確認します。業務範囲は国交省の追加公表も確かめたうえで、担当を決める必要があります。
配送ドライバーを採る場合は、特定技能1号「自動車運送業分野」の要件で判断します。倉庫部門と運送部門を持つ会社でも、同じ採用枠として扱わないよう、求人を分けて検討します。運転業務の要件は特定技能ドライバーの受け入れ条件で確認できます。
企業は、倉庫業の登録や貨物運送事業の許可に加え、どの倉庫で誰が作業を行うかを確認します。倉庫の保有だけで判断せず、登録・許可と作業の実態を照合します。ここでは倉庫分野に特有の主な条件を取り上げます。各制度に共通する雇用・支援などの要件も、別途確認が必要です。
事業者の類型 | 対象となる作業の実施形態 | 社内で照合する資料の例 |
|---|---|---|
登録倉庫業者 | 倉庫業法に基づく登録を受け、倉庫作業を自ら行います。 | 登録関係書類、現場の業務一覧 |
登録倉庫業者からの受託者 | 登録倉庫業者が営業に使用する倉庫で、委託を受けて作業を行います。 | 委託元の登録情報、業務委託契約書 |
一般貨物・特定貨物の許可事業者 | 占有する(自社が使用・管理しており、所有していなくてもよい)倉庫で自ら作業するか、その事業に関連して他人の需要に応じ有償で倉庫作業を行います(たとえば、他社の荷物を有料で預かって作業する場合です)。 | 事業許可関係書類、倉庫の利用・作業契約 |
「一般貨物・特定貨物」は、一般貨物自動車運送事業・特定貨物自動車運送事業を指します。表の資料は社内確認用の例で、申請の必須書類一覧ではありません。業務委託を受ける企業も、自社で外国人を雇う必要があります。特定技能では、委託元と受託者が雇用の継続性に共同で責任を持つ協議書も取り交わします。
入庫・在庫・出庫を管理する倉庫管理システム(WMS)等の利活用が求められます。国交省は、3つの管理機能があれば、WMSという製品名でなくてもよいと説明しています。自社所有も必須ではなく、外国人が働く事業所で使える状態かを確認します。
さらに、システムと連携して機能を広げ、省力化や安全性を高める機器・システムの継続的な利活用も要件です。利用状況は、協議会に加入した日から起算して1年以内に、協議会が定める方法で報告します(2026年6月26日公布の国土交通省告示)。システムを管理している担当者は、管理画面だけでなく、連携機器と利用実績も整理します。
2026年中は、採用日の確定より先に、事業の該当性と現場の受け入れ体制を整理できます。次は社内準備の進め方の例です。
社内での整理は2026年内に一度行い、試験日程・協議会手続きの公表後に更新します。人事は事業の該当性、担当業務、システム利用状況と未確定事項をまとめます。試験・協議会の情報は国交省の物流倉庫分野のページで随時確認します。
採用計画では、開始時期と雇用形態を分けて判断します。以下では、入社日、委託先の条件、運送部門との違いを確認します。
その日を入社日として確約できる段階ではありません。国交省が示す2027年4月1日は育成就労の運用開始日です。入社日は倉庫分野の技能試験日程に加え、候補者の要件や申請手続きを確認して判断します。
登録倉庫業者が営業に使う倉庫で、その委託を受けて作業する企業は対象類型に含まれます。委託関係に加え、直接雇用やシステム利活用などの要件も満たす必要があります。
ドライバー用の手続きや期間を倉庫作業にそのまま当てはめられません。運転業務の工程は外国人ドライバー採用の流れに分けて記載しています。倉庫の工程表は、この分野の試験と申請案内に基づいて作成します。