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外国人材採用ノウハウ

外国人ドライバーの給与設定日本人と同等以上の考え方

2026.09.11 公開読了目安 7分
監修: 株式会社ドラビザ 代表取締役 羽田 健太
有料職業紹介事業・登録支援機関として外国人ドライバーの採用と定着を支援

外国人ドライバーの給与は、同じ業務に従事する日本人と同等以上に設定する必要があります。この記事では、比較する日本人の選び方、手当の扱い、人事が用意する資料を整理します。社内で決裁を取る際は、月給の提示額と、その額を決めた賃金規程・比較資料をそろえます。

対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」でトラックドライバーを採用する企業です。特定技能は、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる在留資格です。試験や企業の認証など、給与以外の条件は特定技能ドライバーの受け入れ要件にまとめています。

日本人と同等以上の給与は誰と比べるか

比較対象は、同じ業務を担当し、経験や技能が同程度の日本人ドライバーです。国土交通省の特定技能Q&AのQ13でも、労働時間や賃金は日本人と同様の条件で雇用するとしています。報酬基準を満たさなければ、在留資格の申請が許可されなかったり、企業が是正を求められたりするおそれがあります。

賃金規程と実際の支払額を照合する

給与の決め方を定めた社内ルールが賃金規程です。規程がある会社は、その等級や経験の評価基準を候補者にも当てはめます。出入国在留管理庁の審査基準などを示す運用要領では、外国人であることを理由に報酬を不当に低くしないことを求めています。

比較対象を選んだ理由と給与の根拠を、賃金規程と賃金台帳で説明できる形にします。賃金台帳は、従業員ごとの労働日数・時間や賃金の支払額などを記録する帳簿です。人事は規程の基準と台帳の実績を照合します。配車を担う運行管理者には、担当車両や業務の違いを確認します。

比較項目

そろえる条件

人事が用意する資料

業務・責任

車両の種類、配送ルート、荷物の積み下ろし、指導役の有無を比べます。

配属予定表と日本人の担当業務一覧を使います。

経験・技能

運転経験、扱ってきた車両、任せられる仕事を比べます。

候補者の職歴と社内の評価基準を並べます。

勤務条件

契約で定める所定労働時間、休日、残業や深夜勤務の条件を照合します。

雇用条件書と勤務表を使います。

給与・手当

基本給と手当ごとの金額・支給条件を比べます。

賃金規程、賃金台帳、候補者への提示案をそろえます。

表は社内検討用の整理例です。例えば、日中の地場配送と夜間の長距離輸送では、勤務条件や手当が違います。社内で最も給与が低い人を選ぶのではなく、予定する仕事と経験が近い人を選び、異なる条件を比較表に記載します。

公的統計の年収は参考値として使う

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の「トラックドライバー」では、全国の平均年収は507.2万円です。2025年の賃金構造基本統計調査を加工した平均値で、中央値ではありません。公表年は2026年で、job tagでは4月28日に更新されています。掲載職業だけの集計とは限らない点にも注意が必要です。

この年収は外国人の初任給や、特定技能の一律の基準額ではありません。社内で相場を示す際は、調査年と集計対象を添えます。統計には残業代や賞与も含まれるため、年収を12で割った額を月給の基準にはできません。自社の給与案は、採用する人の業務・経験と賃金規程に基づいて決めます。

手当と住居補助はどう整理するか

給与の比較では、基本給、仕事に応じた手当、残業代を分けて記載します。免許取得費用や住居補助も別欄に置き、給与として比較する額と会社の採用予算を混同しないことが要点です。

運行手当や無事故手当がある会社では、人事が支給条件を確かめます。同じ条件を満たす日本人と外国人に、同じ基準を適用する必要があります。配送回数などで支給額が変わる手当は、募集時に示す見込額の計算条件も記録します。

残業込みの総額だけで同等と判断しない

残業代を含む月の総額が同じでも、それだけでは同等の給与と説明できません。日本人より長く働いて同額になっていないか、勤務時間と給与の内訳を照合します。賞与や昇給についても、金額の実績だけでなく、評価期間と支給・改定の条件を比較する方法が実務的です。

一定時間分の残業代などを定額で払う仕組みを、固定残業代といいます。採用する場合は、固定残業代を除いた基本給、対象時間数と金額、超過分を追加で払う旨を明示します。名称が「運行手当」でも、残業の対価として払う実態があれば、その内容を確認する必要があります。

住居補助の名称だけで報酬に算入しない

入管庁の運用要領では、交通費など実際にかかった費用を補う性格の手当は、原則として報酬に含めません。ただし、課税対象となる手当は報酬に含めます。通勤手当や住宅手当を一律に含める・除くと決めず、支給内容と課税の扱いを確認します。

免許取得費用の会社負担を、同等以上の報酬を設定する代わりにはできません。社宅の提供も、給与の比較とは別に条件を示します。免許の負担設計は免許取得費用の会社負担と本人負担、家賃や会社補助の整理は外国人ドライバーの採用費用で確認できます。

募集から初回給与までに人事がそろえる資料

募集前に給与の比較資料を作り、契約内容と初回の支払額まで照合します。次の4段階は、説明の食い違いを防ぐための社内運用例です。

  1. 募集前に、人事が賃金規程と比較対象の日本人の賃金台帳を集めます。運行管理者と業務・経験・勤務条件を確認し、比較対象に選んだ理由を記載します。
  2. 採用条件を決める前に、基本給、手当、残業代、賞与の条件を確認します。決裁資料では給与案と比較表を示し、免許取得費用・住居補助の予算は別欄に分けます。
  3. 契約時に、人事が給与や勤務時間を記載する雇用条件書を用意します。本人が十分理解できる言語で作成し、内容を理解した上で署名してもらう必要があります。
  4. 初回給与の支払時に、給与計算の担当者が雇用条件書と勤務実績を照合します。残業代の計算や手当の適用に相違があれば、人事と原因を確認して修正します。

在留資格申請で使う「特定技能外国人の報酬に関する説明書」は、比較対象と算定根拠を記載し、申請時に原則として提出する書類です。雇用条件書も用意します。自社で申請を進めることも可能ですが、職員が本人に代わって書類を提出するには、手続きごとの要件を満たす必要があります。行政書士に依頼する場合は、人事が根拠資料を渡し、記載内容と添付資料をその行政書士と確認します。

免許取得前と乗務開始後で担当業務や手当が変わる予定なら、人事がそれぞれの支給条件と切替時点を明記します。乗務開始の時期が変わった際には、配車担当者と給与担当者で共有します。在留資格と免許の手続きの順序は、外国人ドライバー採用の流れを参照できます。

まとめ

社内の決裁資料には、給与案、比較する日本人の条件、賃金規程の根拠をそろえます。報酬に含める住宅手当と、社宅などの会社負担費用を区別します。免許費用などの予算は別欄で示します。

よくある質問

比較する日本人がいない場合も、給与の根拠を説明する必要があります。給与差や手取り額は、次の基準で整理します。

社内に同じ業務の日本人がいない場合はどうしますか

同じ業務の日本人がいない場合の比較方法は、入管庁の運用要領に定めがあります。人事は賃金規程や近い業務の日本人の情報を整理し、行政書士に確認します。

日本での運転経験がなければ低い給与でよいですか

日本での経験がないという理由だけで決めず、海外を含む職歴と実際に任せる業務を照合します。自社の経験評価をどう当てはめたかを記録し、同等の業務・技能の日本人との報酬差を説明する必要があります。

本人への説明は手取り額だけでもよいですか

手取り額だけでは足りません。人事は給与の総額と内訳を示し、税・社会保険料など給与から差し引く項目を別に説明します。手取りの見込額を示すときも、残業時間や本人負担の家賃など、計算の前提を添えます。

この記事の監修者
羽田 健太はねだ・けんた
株式会社ドラビザ 代表取締役

株式会社ドラビザ 代表取締役。有料職業紹介事業・登録支援機関・一般労働者派遣事業の許認可のもと、外国人材の採用から定着までの支援を行う。

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