
外国人ドライバーの受け入れ体制は、配属・生活・教育を担う人を決めてから整えます。人事は8項目ごとに担当者名、期限、完了条件をそろえます。この記事では、営業所と本社で共有できるチェックリストと、支援を委託する場合の分担を示します。
特定技能は、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる在留資格です。対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」でトラックドライバーを迎える運送会社です。受け入れ企業などが参加する自動車運送業分野特定技能協議会への加入も必要です。職場環境を評価する「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証、または安全性を評価するGマークの認定事業所が必要です。日本人と同等以上の報酬、支援体制などの制度上の企業要件は、特定技能ドライバーの受け入れ要件で確認できます。
人事が進捗を集め、各行の主担当を1名決めて氏名を記入します。支援担当は、法令上選任が必要な支援責任者・支援担当者(要件あり)を指します。自社支援では自社、全部委託では登録支援機関の担当者です。下の期限は社内準備の設定例で、法定期限を示すものではありません。入国日・入社日・運送業務の開始日は分けて管理します。
項目 | 誰が・何をするか | いつまでに・完了条件 |
|---|---|---|
1 配属営業所 | 主担当: 人事/副: 営業所長。勤務場所、直属の上司、初日の集合場所を決めます。 | 住居の手配前に決め、住所と集合時刻を本人へ渡します。 |
2 住居 | 主担当: 総務/副: 支援担当。入居日、鍵の受け渡し、寝具の準備、電気・水道の利用開始を調整します。 | 総務が入居前に鍵の受渡人、寝具と設備の利用可否を確認します。 |
3 通勤 | 主担当: 総務/副: 営業所長。始業・終業時刻に合う経路と交通手段を調べます。 | 初出勤前に本人と経路を確認し、交通機関が使えない時間帯の手段も決めます。 |
4 緊急連絡 | 主担当: 営業所長/副: 総務。事故・遅延時と病気・住居トラブル時の連絡先を整理します。 | 入居前に緊急連絡表を渡し、不通時の次の連絡先も記載します。 |
住居は、鍵を受け取れる日と実際に生活を始められる日を照合します。通信契約が済んでいない場合、総務は到着時や初出勤時に使える連絡手段を支援担当と決めておきます。国内からの転職者も、転居の有無と通勤時間は確認対象です。
項目 | 誰が・何をするか | いつまでに・完了条件 |
|---|---|---|
5 教育担当 | 主担当: 営業所長。指導役と不在時の代役を決め、教育時間を勤務予定に入れます。 | 初出勤前に担当者名と配属初月の予定を共有します。 |
6 日本人社員への説明 | 主担当: 営業所長。同僚へ、担当業務、指導方法、困った場合の相談先を説明します。 | 配属前に担当業務・指導方法・相談先を班内で共有し、説明日を記録します。 |
7 配車計画 | 主担当: 運行管理者/副: 配車担当。日本の免許証の区分・条件を予定車両と照合します。 | 運送業務開始前に、在留資格・免許・教育の確認結果を記録し、配車可否を決めます。 |
8 定期面談 | 主担当: 人事/副: 支援担当。本人・上司それぞれの面談日程を調整します。 | 受け入れ前に担当と初回予定を決め、以後の日程も管理します。 |
表の部署名・役職名は各1名の氏名に置き換え、期限も具体的な日付にします。「いつまでに・完了条件」の欄に、条件を満たした日を追記します。「住居手配中」だけで止めず、未了事項、次に動く人、回答予定日を残す形式です。採用から入社までの工程は、外国人ドライバー採用の流れと合わせて管理します。
法定支援は、特定技能1号の外国人の生活や就労を支える義務的な支援で、10項目あります。人事は10項目すべてについて、自社で行う項目と委託する項目を照合します。支援内容と方法を記した「1号特定技能外国人支援計画」は、在留申請時に提出します。
登録支援機関は、企業から委託を受けて特定技能外国人を支援する機関です。支援範囲は契約内容によって異なります。以下は法定支援10項目を6行にまとめた整理例で、番号は入管庁の項目番号に対応します。実際の担当は支援計画と委託契約に合わせます。
法定支援の項目 | 自社で担う場合 | 委託する場合の社内窓口 |
|---|---|---|
1 事前ガイダンス | 支援担当が雇用契約後、在留資格申請前に労働条件などを説明します。 | 人事が勤務条件を委託先へ渡し、説明内容との一致を確認します。 |
2 出入国時の送迎、3 住居確保・生活に必要な契約支援 | 支援担当が送迎と住居、口座・携帯電話などの契約を支援します。 | 総務が到着時刻と入居情報を渡し、鍵の受け渡しを調整します。 |
4 生活オリエンテーション、5 公的手続等への同行 | 支援担当が生活ルールなどを説明し、必要に応じて公的手続に同行します。 | 総務が地域の生活情報を提供し、人事が手続のための日程を調整します。 |
6 日本語学習の機会の提供、8 日本人との交流促進 | 支援担当が教室や教材、地域行事を案内し、参加を補助します。 | 営業所が勤務予定を共有し、参加できる時間を委託先と調整します。 |
7 相談・苦情への対応、9 転職支援 | 支援担当が相談に対応し、受入れ側の都合で契約を解除する場合は転職を支援します。 | 人事が職場の問題への対応や、求職活動に必要な社内調整を担います。 |
10 定期的な面談・行政機関への通報 | 支援責任者等が本人・上司と面談し、法令違反があれば通報します。 | 人事が日程を調整し、面談後に会社として対応すべき事項を管理します。 |
支援を一部委託する場合、自社も支援体制の基準を満たす必要があります。総務担当を置くだけで基準を満たすとは限りません。自社支援と全部委託の違いや支援内容の詳細は、特定技能の支援計画で整理しています。
運送業務を始める前に、人事と運行管理者が許可・免許・教育状況を突き合わせます。特定技能の許可と予定車両を運転できる日本の免許を確認し、必要な教育などを終えてから運送業務に就きます。免許取得待ちの候補者を、確定した配車人数に含めない運用にします。
運行管理の実務として、教育担当は点呼での体調報告や遅延時の連絡を本人に再現してもらい、理解を確かめます。点呼は、運行の前後などに体調や安全上の事項を確認する手続きです。説明が伝わらない場合は、担当者が短い表現や写真を使って教え直し、結果を教育記録に残します。具体的な教え方は、外国人ドライバーの現場の日本語を参照できます。
項目4で渡す緊急連絡表には、勤務中と休日の窓口、対応言語、連絡可能な時間帯を記載します。相談・苦情には本人が十分理解できる言語で対応する必要があります。事故時は安全確保や警察・救急への連絡を含む会社の手順を示し、本人が順序を説明できるか確かめます。
法定の定期面談は、本人とその上司等を対象に3か月に1回以上実施します。人事は支援の実施担当と日程を合わせ、面談で判明した勤務や住居の問題に対応する人を決めます。日々の声掛けも行い、次回面談まで相談を待たせない体制にします。
人事はチェックリストの未了事項を集め、担当者と完了予定日を社内で共有します。入社日が変わった場合は、住居・通勤・教育の日程も更新します。
支援を委託しても、配属や勤務の調整は企業側で担います。人事と営業所が迷いやすい分担を確認します。
営業所には教育担当を置きます。生活支援の委託とは別に、使用車両や配送先の手順を教える人が必要です。研修も委託するなら、契約内容と現場で教える範囲を照合します。
担当業務、質問を受ける指導役、連絡先を共有します。外国人ドライバーに手順を説明してもらうなど、理解を確かめる方法も共有します。本人の私生活の情報まで一律に共有する必要はありません。
総務が支援担当と代わりの連絡手段を決め、本人に伝えます。到着時の待ち合わせ場所、鍵の受渡人、初出勤の集合場所は紙でも渡し、通信が使えなくても確認できる形にします。