
スリランカから特定技能ドライバーを採用する際は、出国前登録、試験、日本の免許取得を分けて計画します。送出機関の利用は任意ですが、本人のSLBFE(スリランカ海外雇用局)への出国前登録は必要です。日本語試験はコロンボで実施され、現地の貨物車免許は日本の区分と一対一に対応しません。採用前に集める書類と、日程を決める際の注意点を整理します。
対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」でトラック運転手を採用する企業です。特定技能1号は、一定の技能を持つ外国人が対象分野で働く在留資格です。日本人と同等以上の報酬など、企業側にも条件があります。受け入れ企業などが参加する自動車運送業分野特定技能協議会への加入も必要です。共通要件は特定技能ドライバーの受け入れ要件で確認できます。
スリランカは日本と同じ左側通行で、公用語はシンハラ語とタミル語です。募集時は候補者が理解できる言語を確かめ、海外採用ではSLBFE登録までを工程に含めます。
項目 | データ | 出典・時点 |
|---|---|---|
人口 | 約2,192万人 | 外務省掲載の中央銀行統計、2024年 |
宗教 | 仏教69.8%、ヒンドゥー教12.6%、イスラム教10.7%、キリスト教6.9% | JETRO掲載の2024年国勢調査。一部地域を除く値との注記あり |
言語・通行方向 | 公用語はシンハラ語・タミル語、英語は言語間をつなぐ連結語。左側通行 | 外務省、現地道路交通法第148条 |
日本に在留するスリランカ人 | 73,067人 | 出入国在留管理庁、2025年6月末 |
特定技能1号在留者数 | 全分野3,973人、うち自動車運送業6人 | 出入国在留管理庁、2025年12月末速報値・第7表 |
自動車運送業6人の内訳はトラック5人、バス1人です。在留者全体とは集計時点が異なるため、両者から構成比は計算しません。他国との比較は特定技能ドライバー採用の5カ国比較にまとめています。
日本とスリランカは2019年6月19日に、特定技能の適正な送出・受け入れに関する協力覚書(MOC)を締結しました。不適切な仲介への対応などで両国が情報を共有する枠組みです。政府認定の送出機関、つまり海外就労を仲介する機関の利用は任意です。
SLBFEのシンハラ語の登録案内によると、自分で海外の仕事を見つけた人も出国前に登録します。一般の必要書類には旅券、有効な査証(ビザ)、雇用契約、職歴・訓練の証明が挙がっています。日本で免許取得の準備をする在留資格「特定活動」で渡航する場合は、その経路に必要な書類を現地窓口へ照会します。
人事は雇用契約書など企業側の資料を渡し、本人はSLBFEへの登録を進めます。紹介事業者を使う場合も、誰が登録完了を確かめるかを渡航前に決めます。日本の在留資格申請と現地登録は別の手続きです。
SLBFEの公式FAQには、新規登録料22,027スリランカルピーが掲載されています。これは政府への登録料です。政府登録料を、民間送出機関の手数料上限や渡航費用の総額として扱いません。
SLBFEの行政案内では、求人の承認に求人票・業務契約・委任状などを求めています。紹介事業者には、当該求人の承認状況と、訓練・仲介・査証・渡航の費用内訳を照会します。日本向けドライバーの定額上限は確認できていないため、金額だけを提示する説明では判断できません。契約前に、適用する規定と承認書を取り寄せ、費用ごとの負担者と領収書の発行者を確かめます。
トラックでは日本語試験、業務の知識と技能を測る評価試験、配属車両に必要な日本の免許が要件です。人事は試験結果と免許証を集め、未完了の工程ごとに、受験日や取得予定日を決めます。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT‑Basic)は、2026年6〜7月の実施報告でコロンボ開催を確認できます。日本語能力試験(JLPT)の公式一覧も、コロンボの7月・12月開催を案内しています。開催実績と今後の空席は別に確認が必要です。
試験 | 現地での実施 | 人事の確認事項 |
|---|---|---|
JFT‑Basic | コロンボ。CBT(会場のコンピューターで解答する方式) | 本人が選んだ会場・受験日と判定結果通知書を照合します。 |
JLPT | コロンボ、7月・12月 | N4以上の合否と、未受験なら申込期限を確認します。 |
トラックの日本語要件はJLPTのN4以上、またはJFT‑Basicの所定の判定です。JFT‑BasicではA2.2(A2)の判定、つまり総合得点200点以上が必要です。判定結果通知書の得点と水準を照合し、A2.1と取り違えないようにします。
日本海事協会は、スリランカで2025年3月3日から自動車運送業分野特定技能1号評価試験のCBT受付を開始しました。2026年7月はコロンボのほかマラベなどにも実績があります。本人が会場と日時を選んで申し込み、試験日に有効な日本または外国の自動車運転免許を用意します。
7月のトラック月次報告を受験地別に集計すると、スリランカでは38人が受験し、17人が合格しました。1か月分の少人数の実績で、月ごとの実施回数によって変動するため、この数値だけで候補者の学習状況を判断しません。集計の詳細は評価試験の月次実績を参照し、採用日程は本人の学習状況と結果から決めます。
現地の自動車交通局(DMT)は免許を13区分で案内しています。シンハラ語ページと同局掲載の2009年改正法を基に、貨物車を中心に整理しました。表のGVWは車両総重量で、積載量とは異なります。
現地の区分 | 対象車両の概要 | 年齢・保有要件 | 日本の区分との比較 |
|---|---|---|---|
B | GVW3.5t以下・運転者込み9席以下の兼用車、9席以下の乗用車 | 軽車両系。実技試験は18歳から | 普通に近い範囲ですが、日本の普通は総重量3.5t未満などが条件です。 |
C1 | GVW3.5t超〜17t以下の貨物車 | 大型系。実技試験は21歳から、B/B1を2年以上保有 | 日本の準中型・中型・大型にまたがります。 |
C | GVW17t超の貨物車 | C1と同じ(21歳から、B/B1を2年以上保有) | 大型に関係する経験を確認します。 |
CE | 連結・牽引貨物車 | C1と同じ基本要件。連結車固有の追加条件は未確認 | 車両と牽引の経験を分けて聞きます。 |
D1・D・DE | 旅客車系の区分 | C1と同じ基本要件。旅客車の追加条件は未確認 | 日本の車両区分や、旅客運送に必要な第二種免許との同等性は示しません。 |
表の「B/B1を2年以上保有」は免許の保有期間で、運転手としての実務経験2年とは別です。
C1を日本の「準中型免許」と訳して採用判断しません。例えば総重量12tの貨物車も現地ではC1の範囲ですが、日本では大型です。人事は免許名に加え、経験した車両の総重量・積載量・乗車定員と運転期間を聞きます。この表は経験を比較するためのもので、切替後の免許区分を認定する表ではありません。
外国免許を日本の免許に換える手続きを外免切替と呼びます。スリランカの免許は、外免切替で知識・技能確認が免除されません。本人は免許証、旅券、日本語訳に加え、免許取得後に現地で通算3か月以上滞在したことの証明を用意します。区分ごとの取得日が不明なら、日本の住所地の免許センターに追加資料を照会します。
国土交通省の案内では、現地の大型相当免許から日本の大型免許へ切り替える場合も、先に普通免許へ切り替えます。準備用の特定活動では普通免許への切替までを行います。普通免許等の取得後に速やかに特定技能への変更を申請し、必要に応じて中型・大型の追加取得を組みます。取得順序の詳細は外国人ドライバーの免許取得ルートで整理しています。
現地の賃金や公的リストは、待遇説明や紹介元を調べる際の参考資料です。雇用契約前には給与の手取り見込みを示し、食事・休暇・送金の希望を本人と調整します。
コロンボの企業が求人サイトikmanに掲載した例では、トラックの日給は3,000スリランカルピーです。勤務時間は9〜18時、時間外は1時間300ルピーとあります。1件の募集条件であり、全国平均や実際の支給額ではありません。
現地国会の2025年改正法では、2026年1月から全国最低賃金が月30,000ルピー、日1,200ルピーです。これはトラック固有の相場ではありません。日本の報酬は日本人と同等以上に設定し、給与から差し引く税・社会保険・住居費も本人が理解できる言語で説明します。
SLBFEには免許番号などで送出機関を調べる公式の照会画面があります。人事は紹介元から正式名・免許番号を取り寄せ、公式照会画面と照合し、免許が有効期間内か確かめます。日本向けの一覧もありますが、一覧への掲載だけでは特定技能の当該求人を扱えることの確認になりません。求人ごとの承認状況は、紹介元に別途照会します。
現地媒体Newswireは2026年9月3日、日本向けトラック求人で軽車両免許と日本語能力を求める説明を報じました。発表元は海外雇用エージェンシー(SLFEA)で、登録を所管するSLBFEとは別組織です。報道の募集条件だけで判断せず、企業は評価試験、日本の免許、在留資格の要件も照合します。
中央銀行の2026年休日表には、4月13日のシンハラ・タミル新年前日と14日の新年が掲載されています。満月日の宗教行事ポヤの休日もあります。日本の勤務先へそのまま適用される休日ではないため、人事は翌年の帰国希望日と必要な日数を聞き、休暇・配車を調整します。
仏教が多数を占めますが、ヒンドゥー教やイスラム教などを信仰する人もいます。入社前の生活面談で避ける食材や礼拝の希望を聞き、自炊できる住居、休憩時間、使える場所を相談します。家族へ送金したい人には手数料と手続きを案内し、国籍から送金額を決めつけません。
採用の検討資料には、SLBFE登録、試験結果、現地免許の区分、日本の免許取得予定を並べます。全体の日程は外国人ドライバー採用の流れと照合します。
採用日程を決める前に、本人のSLBFE登録と日本の免許取得に残る工程を確認します。次の3点は、紹介事業者の説明と候補者の書類を照合する際の判断基準です。
海外就労のためスリランカを出国する人には登録が必要です。本人が直接見つけた仕事も対象で、人事は契約書の提供と登録完了の確認を日程に入れます。
現地のC1だけでは日本で運転業務に就けません。予定する車両に必要な日本の免許と、運転業務が認められる在留資格をそろえます。
省略はできません。教育担当者は日本の標識、交差点での安全確認、納品先での動作を確かめます。点呼や事故・遅延連絡も確認し、単独乗務前に補う内容を記録します。