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特定技能の転職と退職運送会社の手続きと届出

2026.10.07 公開読了目安 7分
岡嶋 俊哉
監修: 行政書士 / 株式会社ドラビザ 相談役 岡嶋 俊哉
行政書士として就労系・身分系の在留資格申請と運送業の許認可を担当

特定技能ドライバーの退職では、企業の契約終了届出、本人の届出、転職先の変更申請を別々に進めます。企業は雇用契約が終了した日から14日以内に入管へ届け出ます。退職の申出から社宅退去、次の企業への引き継ぎまで、担当と判断基準を整理します。

対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」で働くドライバーを雇用する企業です。人事は最終出勤日と雇用契約の終了日を分けて記録します。有給休暇の消化で日付がずれる場合も、契約終了の届出は終了日を基準に管理します。

退職時の届出は企業と本人で分ける

契約終了は、事由が発生する都度提出する「随時届出」の対象です。年1回の定期届出を待たず、企業と本人がそれぞれ手続きを進めます。

手続き

担当と提出内容

期限・判断基準

雇用契約の終了

企業が特定技能雇用契約に係る届出を提出します。参考様式第3-1-2号に終了日・理由などを記載します。

契約終了の日から14日以内です。

所属先との契約終了

本人が所属(契約)機関に関する届出を提出します。所属機関は雇用先の企業を指します。

契約終了の日から14日以内です。

転職先との契約締結

本人が新たな契約締結について、所属(契約)機関に関する届出を提出します。

新たな契約を締結した日から14日以内です。

支援委託契約の終了・変更

企業が実際の委託契約の変更内容に応じて届出を行います。

終了・変更の事由発生から14日以内です。

企業の契約終了届出では、本人の氏名、生年月日、国籍・地域、在留カード番号なども使います。人事は雇用契約書と本人の情報を照合し、提出日と受付記録を保存します。電子届出システムのほか、企業の本店所在地を管轄する入管への持参・郵送も可能です。

支援を外部に委託していても、企業の届出義務は残ります。登録支援機関は、企業から委託されて特定技能外国人の支援を行う機関です。支援の委託契約だけで企業の随時届出を代行できるわけではありません。人事は企業側の提出と、本人側の提出状況を分けて確認します。

受入れ困難とハローワークの届出も確認する

会社都合などで雇用を続けられなくなった場合は、「受入れ困難に係る届出」が必要になることがあります。この届出は退職日ではなく、受入れの継続が困難になった事由を基準に提出時期が決まります。要否と提出時期は、入管の最新の提出資料一覧と随時届出の質疑応答で確認してください。自己都合退職の扱いや、契約終了届出と同時に提出できるかも、同じ資料で確かめます。

ハローワークへの外国人雇用状況の届出も必要です。雇用保険に加入している本人の離職では、資格喪失届と併せて、離職日の翌日から起算して10日以内に提出します。雇用保険の被保険者でない場合は、外国人雇用状況届出書を翌月末日までに提出する扱いです。

転職先の要件を満たしてから変更申請を進める

特定技能では同じ分野への転職が可能ですが、担当業務に対応する技能が必要です。正確には、転職は同一の業務区分内、または試験等で技能水準の共通性が確認された業務区分間で認められます。

業務区分とは、特定技能で従事する仕事の区分です。自動車運送業分野にはトラック・タクシー・バスがあります。他分野へ移る場合も、移る先の試験などで技能を証明し、必要な要件を満たします。同じ運送業でも、トラックの経験だけでバスの要件を満たすわけではありません。

同じ特定技能1号でも、雇用先が変わる場合は在留資格変更許可申請が必要です。これは、新しい雇用先での活動について入管の許可を受ける手続きです。転職先の企業が本人と申請書類をそろえます。申請は本人または手続きを取り次げる行政書士等が行います。転職先での就労開始は変更許可後です。

  1. 転職先の人事が、申請前に企業の要件を照合します。運送事業の要件に加え、自動車運送業分野特定技能協議会への加入が必要です。協議会は受け入れ企業などが参加する組織です。
  2. 認証と支援体制は、転職先の企業が整えます。トラックでは、職場環境を評価する「運転者職場環境良好度認証制度」の認証が選択肢の1つです。もう1つは、安全性を評価するGマーク制度で認定された安全性優良事業所を有することです。生活・就労を支える法定支援の計画も申請前に用意します。
  3. 転職先の人事が本人の試験結果、運転免許証、在留歴を照合し、雇用契約書を準備します。日本人と同等以上の報酬と、予定車両に必要な免許区分を確認して申請へ進みます。

認証や本人の試験要件の詳細は、特定技能ドライバーの受け入れ要件で確認できます。変更許可前に配車を確定せず、申請日・許可日・就労開始予定日を別々に管理します。

特定技能1号の通算5年は、転職してもリセットされません。転職先の人事は過去の在留歴から残る期間を確認します。帰国や他分野での在留期間の扱いは、特定技能1号の通算5年と更新手続きに整理しています。

社宅退去と支援の引き継ぎは退職前から調整する

社宅の退去日は、社宅規程・賃貸借契約と転居先の入居日を照合して調整します。雇用契約の終了日、退去日、支援の引き継ぎ日は、それぞれ日付を記録します。

法定の転職支援の対象は、本人の責めに帰すべき理由によらない契約解除です。人員整理など、受入れ側の都合で雇用契約を解除する場合は転職支援が必要です。転職先探し、推薦状の作成、求職活動に充てる有給休暇の付与、行政手続の情報提供が含まれます。

本人の希望による自己都合退職では、この転職支援は義務ではありません。ただし、人事は退職届の表題だけで判断せず、労働条件や退職に至った経緯も聞き取ります。支援全体の内容は法定支援10項目と支援計画を参照できます。

  1. 退職の申出を受けた人事が、理由・希望日・転職先の有無・転居予定を本人に確認します。会社都合の解除なら支援担当者と転職支援を進め、実施内容を記録します。
  2. 鍵の返却日、家賃・光熱費の精算、荷物の搬出は、退去前に企業と本人が決めます。転居先が未定なら、住まいの確保を支援担当者と調整します。
  3. 本人は、新しい住居地に移転した日から14日以内に、市区町村の窓口で住居地の変更を届け出ます。窓口には在留カードを持参するため、人事は持ち物と窓口を事前に案内します。
  4. 引き継ぎ前に、現在の企業と支援担当者が未完了の手続きと連絡先を一覧にします。本人の同意を得て必要な情報を転職先へ共有し、残る手続きごとに担当者と期限を決めます。

退職したという理由だけで、在留カードを返納する必要はありません。日本で引き続き在留する本人が所持します。人事はカードの有効期間を確認し、会社への返却物と分けて扱います。

支援の委託範囲は契約内容によって異なります。企業は委託先と、転職支援や住居関係の未完了事項を確認してから終了・変更の内容を整理します。本人都合で転職支援が義務でない場合も、それだけを理由に在職中の支援を打ち切りません。

まとめ

退職管理表には、契約終了日、届出期限、退去日、転職先での就労開始予定日を記載します。各手続きの提出者と完了記録も、この表で管理します。

よくある質問

届出と変更申請は、提出者も目的も異なります。国籍によって求められる追加書類(ベトナムの推薦者表など)も、現在の在留資格に応じて確認します。

企業が届け出れば本人の届出は不要ですか

本人の所属(契約)機関に関する届出も必要です。企業の届出とは別に、本人が契約終了や新たな契約締結から14日以内に行います。

在留期限が残っていれば転職先ですぐ働けますか

転職先への変更許可が必要です。在留期限が残っていることと、新しい企業で働けることは別なので、許可前に運送業務を開始しません。

ベトナム国籍の転職者にも推薦者表が必要ですか

すでに特定技能で日本に在留している人の転職では不要です。推薦者表は、ベトナム側が所定の手続きの完了を確認する書類です。不要なのは推薦者表であり、転職に伴う変更申請や届出は必要です。

岡嶋 俊哉
この記事の監修者
岡嶋 俊哉おかじま・しゅんや
行政書士 / 株式会社ドラビザ 相談役

2015年より行政書士として活動。行政書士法人の役員として、就労系・身分系の在留資格申請を主軸に、貨物運送業をはじめとする各種許認可申請に対応。特定技能制度を活用した外国人材の受入れ支援に多数の実績を持つ。2024年より株式会社ドラビザの相談役として、運送業界における外国人ドライバーの採用・定着支援に取り組んでいる。

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