
送り出し機関は、海外での候補者募集や出国手続きを担う現地の事業者です。特定技能で利用が必要かは国によって異なります。契約前に押さえる利用義務、費用負担、確認書面を、運送会社の採用実務に沿って整理します。
対象は、特定技能1号「自動車運送業分野」(一定の技能を持つ外国人を受け入れる在留資格)での採用です。送り出し機関を選ぶ際は、現地の認定・許可と、本人から徴収する費用の両方を確認します。日本側の紹介会社に依頼する場合も、この確認は必要です。
ベトナムから新たに採用する場合は、認定送出機関の利用が必須です。インドネシア、スリランカ、バングラデシュ、パキスタンは任意です。ただし、現地の登録や出国手続きは別に必要です。
日本と送出国は、悪質な仲介事業者の排除などを目的とする二国間の協力覚書を交わしています。利用義務や提出書類は国ごとに異なるため、人事は募集前に、入管庁の国別ページ(「ベトナムに関する情報」など)と現地政府の案内を照合します。
国 | 送出機関の利用 | 契約前の確認点 |
|---|---|---|
ベトナム | 現地からの新規採用では必須です。 | 認定送出機関との労働者提供契約と推薦者表が必要です。 |
インドネシア | 任意です。 | 海外へ人材を送り出す事業者(P3MI)の許可を照合します。 |
スリランカ | 任意です。 | 利用する機関の海外雇用局の免許と有効期限を確認します。 |
バングラデシュ | 任意です。 | 利用する場合は、同国政府が認定した送出機関に限ります。 |
パキスタン | 任意です。 | 利用する海外雇用あっせん事業者のOEP免許を照合します。 |
ベトナムの労働者提供契約は、受け入れ企業と認定送出機関が結ぶ契約です。推薦者表は、現地で必要な手続きを経た人であることを示す書類を指します。現地からの新規採用では、送出機関がベトナム内務省海外労働管理局(DOLAB)で承認手続きを行います。
日本在留者の変更申請で推薦者表が必要なのは、一部の人に限られます。特定技能で在留中の転職・更新では提出不要です。新規入国と国内変更の違いは、ベトナム人ドライバーの採用ガイドで確認できます。
現地の募集・教育・送出手続きと、日本側の職業紹介(雇用契約の成立をあっせんする業務)は、分けて確認します。日本側で有料の職業紹介を行う事業者には、職業安定法に基づく許可が必要です。人事は許可番号を厚生労働省の人材サービス総合サイトで照合します。
登録支援機関は、特定技能外国人の生活・就労上の支援を企業から委託されて行う機関です。その登録だけでは職業紹介を行えません。契約の区分は有料職業紹介と登録支援機関の違いで整理しています。
送出機関に払う費用は、企業への請求額と本人への請求額を並べて確認します。国ごとの規制があるため、「現地費用一式」という総額だけでは、徴収できる費用か判断できません。
DOLABの特定技能向け公式案内では、本人のサービス手数料は「手数料上限から、受入側が送出企業に払う派遣費を差し引く」算式で決まります。ここでの派遣費は現地制度上の費目名で、日本の労働者派遣を意味しません。送出機関には、上限の算定根拠と差し引いた額が分かる計算書を求めます。
同案内には、所定の修了者はサービス手数料を払わない扱いもあります。人事は送出機関から免除対象となる経歴の条件と確認書類の一覧を受け取り、本人の書類と照合します。語学教育・技能補習の費用は、サービス手数料と別の行に分けて確認する必要があります。
パキスタン移住者・海外雇用局(BEOE)の公表料金表では、OEP(海外雇用あっせん事業者)経由の通常の合計は22,200パキスタンルピーです。内訳はサービス料15,000、福祉基金4,000、保険2,500、登録500、OEC費200です。OECは政府の海外雇用公社を指します。
同表にはサービス料を6,000ルピーとする手続処理案件の注記もあります。該当条件と適用後の合計額は、OEPに書面で確認します。
直接雇用の表は、福祉基金4,000、保険2,500、登録2,500、OEC費200で合計9,200ルピーです。いずれも2026年9月15日に確認した公表料金で、航空券などを含む渡航総費用ではありません。人事は採用経路に合う表を選び、別途請求される実費を領収書と照合します。
バングラデシュについては、日本向け特定技能の具体的な上限額を、今回確認した一次資料では確定できません。上限設定の根拠となる海外雇用・移民法2013年は、政府が命令で移住費用の上限を定められると規定しています。送出機関には、適用する政府命令と費目別の計算根拠を求めます。
インドネシアのゼロコスト原則は、送出費用を雇用主が負担する考え方です。2025年の費用規則第17号は、雇用主負担を原則としつつ、法令、二国間協定、送出実施者と雇用主等の協力契約に基づく例外を設けています。本人負担がある見積書では、根拠規定・契約条項、採用経路への適用条件、費目と金額の3点を確認します。
どの国からの採用でも、法定支援の実施費用を本人に負担させることは認められません。法定支援とは、住居確保の補助や生活上の相談対応など、特定技能1号で義務付けられた支援です。現地の手数料と日本側の支援費を分けて点検します。
送出機関と直接やり取りする場合は、企業が現地の契約・費用・教育の資料を集めます。日本側の紹介会社を窓口にする場合は、その会社が取得する書面と、企業自身が署名する契約を先に決めます。
紹介会社を経由しても、ベトナムの受け入れ企業と認定送出機関との労働者提供契約は必要です。窓口を一本化しても、必要な契約の当事者は変わりません。在留資格申請を行政書士へ依頼する場合も、申請業務の依頼先を契約書に明記します。
次の表は、契約前の社内確認に使う書面の例です。人事が収集し、説明と資料が一致しない項目は、契約締結前に追加の回答を求めます。
書面 | 照合する内容 | 契約前の判断基準 |
|---|---|---|
認定・許可の証書 | 各国政府の一覧、許可番号、有効期限、停止情報を照合します。 | 掲載名と契約法人名が一致し、対象の送出業務を行えることを確認します。 |
費用明細と領収書 | 費目、負担者、徴収済み額、残額、支払先を並べます。 | 企業と本人への重複請求がなく、現地規制の根拠を説明できることを確認します。 |
教育計画と実施記録 | 日本語教育・技能補習の内容、時間、講師、修了判定を確認します。 | 試験対策と運転・荷役の補習の範囲が分かる書面を受け取ります。 |
契約書と返金規定 | 業務範囲、支払時期、辞退・不許可時の返金条件を照合します。 | 返金対象の費目、申請方法、期限が明記されているかを確認します。 |
政府の一覧は、全送出先を対象とする名簿と、日本向けの認定名簿を区別します。教育機関としての登録だけでは、送出事業の許可を確認したことになりません。教育計画に書かれた補習の修了も、本人の試験・免許要件とは別で、特定技能ドライバーの受け入れ要件と照合します。
募集前には国別の利用義務、契約前には認定・費用・教育の書面を確認します。採用全体の日程は、外国人ドライバー採用の流れに沿って組みます。
契約先の検討では、利用義務、支援の委託、費用の精算を分けて判断します。各契約の業務範囲を照合するのが出発点です。
インドネシア、スリランカ、バングラデシュ、パキスタンは利用が任意です。ただし現地の募集・出国手続きは別に確認が必要で、ベトナムからの新規採用には認定送出機関を利用します。
支援範囲は契約内容によって異なります。企業が法定支援の体制を整え、登録支援機関へ委託する場合は、支援委託契約で担当と費用を定めます。
人事が本人から領収書を確認し、送出機関の明細と照合します。費目、徴収額、支払先が一致しない場合は、説明を求めます。重複や規制違反の疑いが解消してから、契約を判断します。