
トラックドライバーを育成就労で採用するための分野は、現在設定されていません。追加を待たず、今のドライバー採用は特定技能1号を軸に検討します。この記事では、運送会社が選べる採用方法と、倉庫部門とは分けて考えるべき点を整理します。
育成就労は、2027年4月に始まる新しい制度です。「物流倉庫」が対象に加わりましたが、トラックの運転を担う「自動車運送業」とは別の分野です。以下は2026年9月15日時点の公表内容に基づきます。
自動車運送業には、育成就労の対象となる産業分野の設定がありません。国土交通省の特定技能Q&Aの問22でも、育成就労と特定技能2号の追加は「現時点では未定」とされています。
特定技能は、一定の技能を持つ外国人が対象分野の仕事に就くための在留資格です。在留資格とは、日本に滞在する目的や活動の範囲を定める資格を指します。自動車運送業で現在使えるのは特定技能1号で、より熟練した技能を対象とする2号は設定されていません。
現在公表されている制度では、2027年4月の開始後も育成就労でトラックの運転は任せられません。「未定」は、追加すると決まったわけでも、追加しないと決まったわけでもありません。採用計画は、追加を前提にせず立てます。
たとえば2027年中の増車に合わせて採用するなら、必要な人数と稼働希望日を先に決めます。そのうえで、特定技能1号など現在認められている資格で候補者を探します。
特定技能1号「自動車運送業分野」では、海外在住者と国内在住者の両方を採用候補にできます。また、永住者など就労内容に制限のない在留資格を持つ人も、ドライバー採用の対象です。
採用方法 | 候補者と任せる仕事 | 募集時に確認すること |
|---|---|---|
特定技能1号で海外採用 | 海外在住者をトラックの運転業務に採用します。 | 試験の合格状況と、日本の免許取得までの工程を確認します。 |
特定技能1号で国内採用 | 国内在住者を、必要な在留資格の変更等を経て採用します。 | 現在の資格、免許、特定技能1号で在留した期間を確認します。 |
身分に基づく在留資格で採用 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者が対象です。 | 在留カードの就労制限の有無と、予定車両に必要な免許を確認します。 |
身分に基づく在留資格は、家族関係や日本での定住などを根拠とする資格です。就労内容の制限がないため、特定技能の枠を使わずに運転業務へ採用できます。ただし、運転に必要な免許や安全教育など、日本人にも適用される条件は満たす必要があります。
専門的な知識を使う仕事や通訳などを対象とする資格が、「技術・人文知識・国際業務」、略して技人国です。技人国では、トラックの運転を主な仕事として採用できません。大学卒業者や日本語が堪能な人でも、この点は同じです。
募集名を「管理職候補」にしても、実際の主な仕事が配送なら、その名称だけで技人国の対象にはなりません。会社は求人票に書く職種名と、入社後に任せる仕事内容を一致させます。運転を任せたい場合は、自動車運送業の特定技能1号など、運転業務に合う資格で検討します。
特定技能1号で在留できる期間は、原則として通算5年です。他分野の特定技能1号で働いた期間も合計され、転職や帰国を挟んでも計算し直しにはなりません。会社は採用前に、本人の過去の在留歴を確認します。
採用計画では、残る在留期間と、運転を任せるまでの教育期間を並べ、実際に配置できる年数を見積もります。2号への変更を見込んで長期の配置人数を確定することは避け、現行制度で働ける期間を基準に判断します。通算期間の数え方と5年を過ぎた後の選択肢は、特定技能1号の通算5年とその後にまとめています。
実際の採用には、本人の試験・日本語・免許に加え、企業の事業・認証・支援体制の要件もあります。自社で受け入れられるかは特定技能ドライバーの受け入れ要件で確認できます。海外・国内それぞれの工程は外国人ドライバー採用の流れで整理しています。
倉庫部門を持つ運送会社は、物流倉庫分野の育成就労・特定技能1号も採用の選択肢として検討できます。ただし、倉庫を持っているだけで受け入れ要件を満たすわけではなく、対象事業者の条件との照合が必要です。
国土交通省は、一般貨物・特定貨物自動車運送事業の許可を受けた会社も対象に挙げています。対象になるのは2つの場合です。1つは、占有する倉庫で自ら倉庫作業を行う場合です。もう1つは、運送事業に関連して他人の需要に応じ、有償で倉庫作業を行う場合です。対象となる事業の形に加え、制度ごとの受け入れ条件も確認します。
物流倉庫分野で任せられるのは、貨物の入出庫や保管などの倉庫作業です。物流倉庫分野で受け入れた人を、そのままトラックの配送要員には配置できません。同じ会社の業務でも、倉庫作業と運送業務は分けて採用計画を立てます。
募集前には、会社が求人票を「配送」と「倉庫内作業」に分け、それぞれの人数・勤務地・主な業務を書き出します。配送と倉庫作業を兼ねる求人なら、実際の業務内容を整理したうえで、どの分野に該当するかを確かめる必要があります。
育成就労は2027年4月1日に始まりますが、制度の開始日だけで入社日を確定できません。9月15日に確認した国交省ページでは、物流倉庫の特定技能1号の試験開始時期や協議会の加入受付時期は調整中です。公表状況と企業の準備項目は物流倉庫分野の特定技能と2027年の受け入れ準備を参照できます。
運転を任せる人数は、現在使える資格と候補者の在留期間で見積もります。倉庫部門の採用は別に整理し、2027年の制度開始に向けた公表内容と照合します。
育成就労や2号の追加が公表されたときは、その時点で運転業務の採用計画を見直します。
新制度を待つか、今の資格で募集するかは、任せる仕事を基準に判断します。運転業務では、育成就労への追加や2号への移行を前提にしない計画が必要です。
待つ必要はありません。自動車運送業の特定技能1号はすでに受け入れが可能です。本人と企業の要件を満たすことを前提に、海外・国内の両方で募集を検討できます。
現在、自動車運送業には特定技能2号の設定がありません。勤務年数や運転経験を積んでも、自動的に2号へ変わる仕組みはありません。
物流倉庫分野の資格のまま、トラックの配送要員にはできません。運転業務に移る場合、必要な運転免許を取るだけでは足りません。自動車運送業分野の要件と、必要な在留資格の手続きを確認します。